JR東日本、埼京線の一部車両に年内にも防犯カメラを設置へ 痴漢対策として
【2009年12月18日】
JR東日本は、痴漢防止対策として、痴漢被害の多い埼京線を走る一部車両の車内に年内にも防犯カメラを設置する方針を固めた[1][2]。
鉄道車両内の防犯カメラは、新幹線や特急列車のデッキ部分に設置されている例はあるが、通勤列車の客室に設置されるのは日本全国で初めてであるという[2]。
今年10月に鉄道事業者と警視庁および埼玉・神奈川・千葉の各県警が共催した官民会議において、痴漢の悪質化に対する防犯対策として、警視庁と各県警が鉄道事業者に防犯カメラの設置を要請[1][2]。これを受けたJR東日本は、当初はプライバシー保護の面から慎重論も出ていたが[2]、防犯対策としてのコンビニエンスストア店内の防犯カメラによる撮影・録画に違法性はないとした2005年3月の名古屋高裁での判決などを踏まえて、専門家を交えて検討を行った[1][2]。その結果、
- 利用を痴漢などの防犯対策に限定し、乗客には「録画中」と表示することで説明する
- 映像は一定期間保存した後に削除する
- 刑事手続以外で第三者に開示することを禁止する
などの厳格な運用を行えば問題はないと判断し、導入を決めた[1]。
当面は1〜2両編成の車両を対象とし、ラッシュ時の混雑が激しい車両の天井や網棚など数ヶ所にカメラを設置予定であるという[1]。JR東日本によると、埼京線において効果が認められれば、設置車両の増加や、他の路線への拡大も検討するという[2]。
警視庁によると、今年1月から9月までに東京都内の電車内で発生した痴漢被害は、強制わいせつ事件を含め計1174件に上り、埼京線は路線別では最多の146件(全体の12.4%)であった[1][2]。
この決定を受けて、警察庁の安藤隆春長官は12月17日(UTC+9)の会見で、「抑止効果があるのではないかと期待している」とコメントした。安藤長官はまた「痴漢の撲滅は官民一体で行うことが大事。犯罪を取り締まると同時に、犯罪をしにくい環境を作ることも重要」と述べ、鉄道車両内への防犯カメラ設置の有効性に期待を示した[3]。
情報源
[編集]本ニュースは「読売新聞」と「朝日新聞」、「共同通信」の以下の報道を情報源としている。