小惑星探査機はやぶさ、地球帰還にむけ準備開始

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【2006年12月3日】

2006年12月3日現在の小惑星イトカワの位置。はやぶさはイトカワとほぼ同じ位置にある。(NASA提供)

朝日新聞が12月3日付で伝えたところによると、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は小惑星イトカワの探査を行った探査機「はやぶさ」を地球に帰還させるための準備を本格的に始めた。順調に行けば2007年3月頃にイトカワの軌道を出発する予定。

「はやぶさ」は将来の小惑星探査技術を確立するための工学実験機として開発され、2003年5月9日にM-Vロケットによって打ち上げられ、2005年9月12日に小惑星イトカワ近傍に到着した。当初の予定では2005年の12月上旬に地球への帰路につくはずだったが、12月8日に化学燃料が漏れたことによる外乱のために姿勢が乱れ、地球と通信できない状態になった。このため帰還が3年遅れることとなった。

2006年1月23日に地球とはやぶさとの通信が回復した。それ以来JAXAは、機体の状態を確認し、姿勢を立てなおすなどの運用を行ってきた。現在は地球との距離が近く安定した通信を行うことができるため、本格的な帰還準備が始まった。

JAXAが公開している情報によると、はやぶさは現在、

  • 姿勢制御のためのリアクションホイールは3基中2基が故障して使えない
  • 化学燃料スラスタは燃料が漏れ出して枯渇したため使えない
  • リチウム電池が過放電によりショートしており、充電すると爆発する虞がある

という状態である。そのうえ今後の運用では、

  • 小惑星の試料が入った容器に蓋をするため、爆発するかもしれないリチウム電池に充電しなければならない
  • 故障した推進器の温度が低下しているため暖めるが、予想以上の残留燃料があった場合、これが吹き出して姿勢が再び乱れる可能性がある

と、ミッションの失敗に繋がりかねない危険な運用をこなさなければならない。

しかし、はやぶさプロジェクトのウェブサイトに11月29日に掲載された情報によると、はやぶさまでの距離計測は毎日成功しており、軌道は正確に決定されている。またイオンエンジンに使うキセノンガスの残量も地球帰還のためには十分である。プロジェクトチームは、運用方法についてはさらに検討の余地があるものの、なんとか地球への航行をさせるべく努力しているという。

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