北海道の北部に記録的豪雨 礼文島で土砂崩れ発生 2人死亡
【2014年8月25日】 北海道の礼文(れぶん)島と利尻(りしり)島は8月24日、記録的な大雨が降り、このうち礼文島の礼文町船泊村では同日午後1時ごろ土砂崩れが発生し、住宅1棟が全壊する事故が起きた[1]。
この土砂崩れで、無職・岩戸谷(いしとや)勉さん(85)[2]方の木造住宅が全壊し、土砂に埋もれた家屋から家族3人が救助されたが、妻の妙子さん(81)と長女の富士代さん(55)が搬送先の診療所で死亡が確認された。石戸谷さんは胸などにけがを負った[3]。
北海道警・稚内署の調べによると、石戸谷さんの自宅のすぐ裏側で高さ約50m、幅約50mの土砂崩れが当時発生したという。この他にも礼文町の数か所で地滑りが起き、同町が避難勧告を出した[2]。
読売新聞の取材機は、土砂災害が起きた翌日の8月25日、現場を上空から撮影し、山の斜面から崩れた土砂が、その真下にある民家を直撃し、生活用品などが散乱している様子を映し出した。また同島の随所で土砂崩れが発生し、流れた土砂などがトンネルをふさぐなど、道路の寸断されている様子も確認している[4]。
札幌管区気象台によると、礼文町は8月24日午後1時40分までの24時間雨量が2003年に観測を始めて以来最大となる183㎜の降水量を記録。稚内(わっかない)地方気象台によると、礼文町では50年に1度の記録的な大雨が降っていたという[2]。また礼文町役場によれば、この大雨により同町内の2本の川があふれ、道道が一部冠水する被害も発生した[5]。
礼文町では当初避難勧告を発令しなかった
[編集]この土砂崩れで、稚内地方気象台が土砂災害警戒情報を発令したとき、北海道が礼文町に避難勧告を出すように促したものの、同町は「対応しきれない」として避難勧告の発令を当初見送っていたことが分かった[6]。
土砂災害警戒情報を稚内地方気象台が発令したのが8月24日午前10時20分のことで、その後、北海道危機対策課は礼文町の担当者に対して3回にわたり避難勧告の発令を促す電話を行った。しかし、同町の職員(約100人)の大半が、浸水被害の対応に追われていたことから、町役場のある島の南側の地区に対して、自主避難を呼びかけるのみにとどまり、今回の住宅倒壊を伴う土砂崩れの事故があった礼文町船泊村のある島の北部は、自主避難を呼びかけていないうえ、「避難勧告を出しても職員を派遣できない」として避難勧告を発令しなかった。同町が避難勧告を発令したのは、土砂崩れが起きた後の午後4時50分ごろだったという。このことについて村井正春同町副町長は「職員たちは川の氾濫などに対応し、避難勧告を出せる状況ではなかった」と読売新聞の取材に対して答えている[6]。
情報源
[編集]- ↑ 『北海道礼文島で土砂崩れ、女性2人死亡 記録的な大雨』 — 朝日新聞, 2014年8月24日
- ↑ 2.0 2.1 2.2 『北海道礼文島で記録的大雨、土砂崩れで母娘2人死亡』 — 産経新聞, 2014年8月24日
- ↑ 『礼文島で土砂崩れ、住宅押し潰す…母娘2人死亡』 — 読売新聞, 2014年8月24日
- ↑ 『えぐり取られた斜面直撃、生活用品散乱…礼文島』 — 読売新聞, 2014年8月25日(その写真を拡大したもの)
- ↑ 『北海道 礼文島で川あふれ道路冠水』 — 日本放送協会, 2014年8月24日
- ↑ 6.0 6.1 『礼文町 避難勧告、当初発令せず』 — 読売新聞, 2014年8月26日