ベーナズィール・ブットー・元パキスタン首相が自爆テロで殺害される

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)
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【2007年12月28日】

ベーナズィール・ブットー

ベーナズィール・ブットー元パキスタン首相が自爆テロをうけて死亡したとみられると公表された。ブットー氏はラーワルピンディーでの大規模な政治集会から戻ろうとするところだった。地元報道では、すくなくとも20名の死者が出ているという。このテロに対し、国際的な非難がおこっている。10月にはカラチの自爆テロでブットー氏の支持者136名が死亡し、450名以上が負傷している。

下線部が引かれている地名がラーワルピンディー

複数の証言に拠れば、ブットー氏は自爆テロ犯が自爆するまえに首と胸に銃撃を受けたという。ブットー氏はパキスタン人民党の党首で、8年の軍事政権が開ける来年1月8日の総選挙に向けて集会を終えて帰るところだった。

パキスタン人民党のワシフ・アリー・カン氏によれば、ブットー氏は35分間の治療ののち、現地時間の27日18時16分 (UTC+5) に死去した。医師は爆弾の破片の損傷を受けたと述べた。

死が報ぜられると、ブットー氏の支持者は『ムシャラフの犬』と、パルヴェーズ・ムシャラフ大統領を非難する言葉を唱え始めた。そこでは多数のひとびとがムシャラフ大統領とその安全保障機関が殺害したと非難した。怒りと混乱のため、パキスタン人民党支持者はラーワルピンディー総合病院のドアを破壊。他の都市でも路上で抗議が行われ、カラーチでは路上でタイヤを燃やし、ガソリン・ステーションに放火、2人の警察官が射殺されている。ペシャーワルでは、約100名のパキスタン人民党支持者が主要道路を封鎖し、パキスタン・ムスリム連盟カーイデ・アザーム派(PML-Q、政権与党)の広告板とポスターに放火、また空中に発砲、絶叫した。ジャコバーバードでは裁判所や銀行が放火された。「男はまずブットー元首相の車輌に発砲しました。彼女はそれを避けると男は自爆しました。」とパキスタンの警察官、モハンマド・シャヒード氏は述べた。

ブットー氏はパキスタンのカラチに1953年6月21日に生まれた。2度パキスタン首相を務めた。ブットー氏は間近に控えている選挙に出馬するため、亡命先からパキスタンに帰国していた。2007年、アメリカのインターネット・ポータルサイトMSNで、世界で2番目に影響力のある女性に選ばれた。

ベーナズィール・ブットー氏は夫アシフ・アリー・ザルダーリ氏とビラワル・バクトワール・アシーファの3人の子供を遺した。

ブットー氏はこれまで汚職訴追から逃れてイギリス等に事実上亡命していた。しかし、訴追解除により2007年10月に8年半ぶりにパキスタンに帰国。イスラーム過激派の取り締まり強化を訴えたが、パキスタン国内ではイスラーム原理主義勢力がブットー氏に対する反感を強めていた。またパキスタン人民党はムシャラフ大統領との合意による「政権の共同運営」で、選挙後の連立与党入りも視野に入れていたといわれているが、この暗殺により白紙化、政局は不安定になると見られる。

殺害への反応[編集]

パキスタン人権委員会委員長のアスマ・ジェハンギル氏は、「とてもショックを受けている。人々は皆涙を流している。みながみな軍部がベーナズィールを殺害したといっている。これからさらに血が流されるだろう。ついに国際社会は目覚めるのだろうか」と述べた。

パキスタン内務省報道官は「テロリストは選挙を妨害しようとしている」と述べ、「ブットー氏がこの攻撃の標的であるのか、攻撃者は混迷と虐殺を望むのか」は言明できないと述べた。

パキスタン外務大臣は「衝撃を受けた」と述べ、「遺された夫と子息に哀悼の意を表したい」と述べた。「われわれはパキスタンに民主主義がくることを待ち望んでいた。今回の事件はテロがパキスタンを練り歩いているということを示している」とも述べている。

マンモーハン・スィンインド首相は「ブットー氏の死によりインド亜大陸からパキスタンの民主主義と融和に努力したすぐれた指導者が失われてしまった。ブットー氏のこの事件はテロリズムの卑劣な行動というこの地域に共通する危険とそれを撲滅せねばならないということを思いださせた」と述べた。

ムシャラフ大統領はパキスタン国民に対して平穏を保つように呼びかけ、人々が恐惶に陥らなければテロリストに打ち勝つことができると述べた。また、「安全保障状態に深刻な過失」があることも認めた。

ジョージ・ワシントン・ブッシュ・アメリカ合衆国大統領は、今回の行為は「パキスタンの民主主義を破壊しようとする殺人的原理主義者による卑劣な行為である」と述べた。

27日付の声明で、潘基文国際連合事務総長はブットー氏の殺害を非難している。「パキスタン人民党党首であり、さきのパキスタン首相であったベーナズィール・ブットー氏の暗殺を受けて、衝撃と激昂を覚える。これはパキスタンの安定とパキスタンにおける民主化プロセスへの攻撃である。この凶悪な事件に断固非難し、可及的速やかに犯人に処罰が下されるよう望む」と述べた。

潘事務総長はブットー氏の遺族およびパキスタン国民に対し哀悼の意を表し、「この難事をきりぬけるために平静と抑制をつよく勧めるが、同時に、国民が一致団結して平和と統合へ向かわれることを希望する」と述べた。

ナワーズ・シャリーフ前パキスタン首相はパキスタン史上「もっとも沈痛な日である」と述べ、「なにかとてつもないことが起った」とも述べた。また、ブットー氏を追悼して、シャリーフ氏の政党は来年1月8日の選挙はボイコットすると述べた。

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