【熊本地震】熊本県で大規模な地震が断続的に発生
【2016年4月17日】
2016年4月14日の21時26分頃(UTC+9)、熊本県の熊本地方で最大震度7を観測する大規模な地震が発生した[1]。地震の規模を示すマグニチュードは6.5と推定されている[1]。熊本県災害対策本部によると、この地震により家屋の倒壊などが起こり、15日午前1時前の段階で益城町で8名、熊本市で1名の死亡が確認されたほか[2]、多数の負傷者が病院で手当を受けた[2][3]。熊本県内では避難所が設置され、4万5000人が避難を行った[2]。気象庁はこの大規模な地震に対する公称を「平成28年(2016年)熊本地震(The 2016 Kumamoto Earthquake)」と発表した[1][2]。
更に16日午前1時25分には熊本地方を震源とする最大震度6強を観測するマグニチュード7.3の地震が発生し、被害は更に拡大している[4]。17日12時時点で非常災害対策本部がまとめた情報によると、熊本市4名、南阿蘇村5名、西原村5名、御船町2名、嘉島町3名、益城町12名、八代市1名、合計32名の死者が新たに確認されている[5]。この地震による熊本県内の避難者数は16日午前7時現在で6万8911人となっている[6]。気象庁は16日の会見で、16日未明の地震が「本震」で、14日の大地震とその余震と見られていた地震は「前震」であったと発表した[7]。
14日の熊本地方での大規模な地震発生以降、阿蘇地方、大分県で地震活動が活発になっており[8]、気象庁の青木元・地震津波監視課長は16日午前の記者会見で16日未明の地震が影響し、三つの地域で別々の地震が同時多発的に発生していると言う見解を示している[9]。
断続的に発生する規模の大きな地震の影響で、建造物にも深刻な被害が出ている。南阿蘇村、西原村、益城町、嘉島町などで多数の住宅やアパートが倒壊[10]。宇土市役所は崩落の危険が出ている[6]。阿蘇市にある阿蘇神社では楼門と拝殿が基底部から崩れて全壊した[11]。熊本城では天守閣の瓦がほとんど落下[11]、築城時から残っていた東十八間櫓、北十八間櫓(いずれも国指定重要文化財)が倒壊し[12]、宇土櫓の一部も崩れていた[11][12]。
交通インフラは広範囲で被害が発生している。南阿蘇村の国道325号に掛かる阿蘇大橋(全長200メートル)は土砂崩れによって完全に崩落[6][13][14]、国道325号と交差する国道57号に並行して走るJR豊肥線の線路も流された[6]。高速道路は土砂の崩落、跨道橋の落下、ひび割れなどが各所で発生し通行止めとなっている区間が生じている。国土交通省によると、4月17日現在で被災による道路の通行止めは高速道路4区間、直轄国道2区間、補助国道19区間、都道府県・政令市道118区間に上るという[15]。鉄道では地震に伴い九州新幹線と大分・熊本両県の在来線が16日は終日運休し、その他の各路線も一時運行を見合わせた[16]。熊本空港では空港ビルの天井が落下しており、乗客の安全を確保できないとして16日午前4時45分に同空港を発着する全便の運休を決定した。ただし滑走路自体は無事であるため、自衛隊機が発着に使用している[6]。
情報源
[編集]- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 『熊本地震、死亡9人に…774人が重軽傷』 — 読売新聞, 2016年4月15日 14時49分(UTC+9)
- ↑ 『熊本で震度7 家屋倒壊、9人死亡』 — 日本経済新聞, 2016年4月15日 6時48分(UTC+9)更新
- ↑ ロイター:久保信博 取材協力:竹中清、白木真紀、山崎牧子、浜田健太郎 編集:田巻一彦 『熊本で新たにM7.3の地震、13人が死亡』 — 東洋経済新報, 2016年4月16日
- ↑ 『平成28年(2016年)熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について』 — 内閣府, 2016年4月17日 12時00分(UTC+9)
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 中里顕、井川加菜美、円谷美晶 『未明に本震 新たに19人死亡、死者28人に』 — 毎日新聞, 2016年4月16日 最終更新:13時13分(UTC+9)
- ↑ 円谷美晶 『熊本地震 16日未明のM7.3が「本震」 気象庁』 — 毎日新聞, 2016年4月16日 最終更新:8時5分(UTC+9)
- ↑ 『「平成28年(2016年)熊本地震」について(第10報)』 — 気象庁, 2016年4月16日
- ↑ 飯田和樹 『熊本、阿蘇、大分…3つ別々の地震が同時に発生』 — 毎日新聞, 2016年4月16日 最終更新:18時53分(UTC+9)
- ↑ 『熊本で未明に震度6強、本震か 3人死亡、建物倒壊多数』 — 朝日新聞, 2016年4月16日 7時36分(UTC+9)
- ↑ 11.0 11.1 11.2 『肥後のシンボル危機 熊本城、阿蘇神社、通潤橋』 — 西日本新聞, 2016年4月16日 更新:21時05分(UTC+9)
- ↑ 12.0 12.1 共同通信社 『築城時から残るやぐら倒壊 熊本城の国重要文化財』 — 中日新聞, 2016年4月16日 23時15分(UTC+9)
- ↑ 『阿蘇大橋が崩落 地元男性「橋がなくなっている」』 — 朝日新聞, 2016年4月16日 07時03分(UTC+9)
- ↑ 『【国土地理院】 阿蘇大橋周辺の土砂崩れ箇所』 — 国土地理院, 2016年4月16日
- ↑ 『熊本県熊本地方を震源とする地震について(第7報)』 — 国土交通省, 2016年4月17日 13時00分(UTC+9) 全47ページの資料のうち、高速道路に関しては31ページ、直轄国道については32ページ、補助国道に関しては32-34ページ、都道府県・政令市道に関しては34-35ページに記載されている。
ウィキニュース関連リンク
[編集]外部リンク
[編集]- 地震情報(気象庁)
- 熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について(内閣府)
- 平成28年熊本地震に関する情報(国土地理院)