野球史上最長の延長戦・50回で決着 - 高校軟式野球準決勝

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軟式野球ボール CC-by-sa-3.0

【2014年8月31日】

第59回全国高校軟式野球選手権大会準決勝の中京高校東海地方岐阜県)対崇徳(そうとく)高校西中国広島県)のサスペンデッドゲーム(一時停止試合)の続きが、8月31日午前9時過ぎに延長46回から、明石・トーカロ球場にて再開され、50回表に中京高校が3点を奪い、3-0のスコアで勝利し、午後に行われる決勝戦に進出した。決勝戦は中京高校対三浦学苑高校南関東神奈川県)で行われる[1]

今大会では、準決勝までサスペンデッドゲームを採用しており、15イニング単位で決着がつかなければ一旦そこで試合を中断し、後日次のイニングから試合を続けるというものである。日本高校野球連盟の説明では、硬式球に比べて、軟式球は肩やひじへの負担が軽いため、日程の消化も進むとしてサスペンデッドを取り入れている[2]。なお、決勝戦については延長15回で同点の場合は引き分け再試合を行う[3]

この試合は8月28日に開始され、延長15回を終えて0-0の同点だったため、あくる8月29日に延長16回からサスペンデッドの続きを行ったが、この日も通算延長30回目まで戦って0-0のままで再サスペンデッドとなった[4]

さらに8月30日に延長31回から行われた再サスペンデッドの続きも、45回まで0-0の同点のままとなり、3回目のサスペンデッドが宣言され、8月31日は延長46回から再開、最大で延長54回まで行って決着がつかなければくじ引きで決勝戦に出場するチームを決めるとする取決めが設けられた[5]

こうして迎えた8月31日のサスペンデッドの続きは、47回に中京高校が2アウト満塁、崇徳高校も2アウト1・2塁のチャンスを作るも、後続が倒れ、48回も2アウトから両軍走者を出すも得点に至らなかった。そして50回、中京高校は内野安打や相手側のエラーなどによる満塁のチャンスで後藤選手が2点2ベースヒットを放ち、さらに小池選手もピッチャーゴロの間に1点を追加し、3-0としてそのまま勝利を収めた。中京高校の松井投手、崇徳高校の石岡投手は共に4日間・50イニングスを完全に投げ抜き、松井投手は709球、石岡投手は689球を投じた[1]

中京高校の松井投手は、8月30日の試合終了後、「体には相当負担がきている。今日も最後まで投げるとは予想しなかった」と述べ、また平中亮太監督も「昨日ですら30回は予想を超えていたのに、今日もこんなことになるとは」と試合を振り返っている[5]

8月30日の試合を観戦していた日本高野連事務局長の竹中雅彦氏は「延長戦で人為的に走者を置いて、早期決着を目指すタイブレーク制度の導入を含めた、軟式野球の規定改定を検討する」と話している[5]。竹中氏は、「今回は考えられないことが起きた。サスペンデッドゲームの限界が見えた」としており、日本高野連に加盟するすべての学校を対象にアンケートを実施。9月に開示される予定の結果を踏まえて今後について対応を決めるとしている。このアンケートには投手の健康面から「投球回数や投球数の制限」についての設問も用意されているが、竹中氏は「公立校など、投手が1人しかいないところではなじまないだろう」と、投球制限についての導入が難しいことを示唆している[6]

軟式野球は硬式球に比べると打球が伸びないため、得点が入りにくく、延長戦にもつれ込むことが多いとされている[3]。過去の同大会においての延長戦の記録は25回で、1981年の大津高校山口県)対口加(こうか)高校長崎県)、並びに1983年の平工業高校福島県)対松商学園高校長野県)の2例があった。また軟式野球全体での最長は1983年9月20日の天皇賜杯全日本選手権大会決勝におけるライト工業東京都)対田中病院(宮崎県)の45回(2-1でライト工業の勝ち)が記録されており、この試合においては田中病院の池内雄一郎投手が8時間19分を1人で522球投げ抜いた記録が残っている[7]

参考までに、硬式球による全国高校野球選手権大会の最長記録も、1933年の中京商業中学(旧制)明石中学(同左)25回があり[8]、この試合で記録された試合時間4時間55分も夏の大会記録として残っている[9]

中京高校が決勝戦も制す[編集]

この準決勝に続けて同球場で行われた中京高校対三浦学苑高校との間での決勝戦は、中京高校が2-0で勝利して2年ぶり7回目の優勝に輝いた[10]

中京高校は6回と7回にそれぞれ1点を奪い、2人の投手が完封リレーをして優勝に導いた。特に松井投手は、準決勝の50回完封に続き、決勝戦も4回途中からのリリーフで、5回3分の2イニングスを投げ抜いて、決勝までの4試合で75回3分の2イニングス、1047球、失点1という好成績を残した[11]

情報源[編集]

  1. 1.0 1.1 『延長50回で決着、中京が勝利 軟式高校野球準決勝』朝日新聞(朝日新聞デジタル)、2014年8月31日。
  2. 『“世紀の死闘”ついに決着…延長50回 中京が3―0で勝利』スポーツニッポン(スポニチアネックス)、2014年8月31日。
  3. 3.0 3.1 『中京―崇徳2日がかりでも終わらない 延長30回0―0』スポーツニッポン(スポニチアネックス)、2014年8月30日。
  4. 『全国高校軟式野球大会、延長30回でも決着つかず 準決の中京-崇徳』夕刊フジ(zakzak)、2014年8月30日。
  5. 5.0 5.1 5.2 『延長45回0-0 また勝敗持ち越し くじ引き決着も』東京新聞(TOKYO web)、2014年8月31日。
  6. 共同通信 『高野連事務局長、延長五十回試合に「サスペンデッドの限界見えた」/軟式』サンケイスポーツ(sanspo.com)、2014年8月31日。
  7. 『中京0-0崇徳 延長45回でも決着せず』日刊スポーツ(nikkansports.com)、2014年8月30日。
  8. 『延長30回勝負つかず3日目突入へ 軟式高校野球準決勝』朝日新聞(朝日新聞デジタル)、2014年8月29日。
  9. 『高校野球Q&A・延長打ち切りで再試合…きっかけは?』読売新聞(YOMIURI ONLINE)、2014年8月24日。
  10. 『準決勝延長50回制した中京が優勝 軟式高校野球』朝日新聞(朝日新聞デジタル)、2014年8月31日。
  11. 『延長50回制した中京が三浦学苑破り優勝』日刊スポーツ(nikkansports.com)、2014年8月31日。

外部資料[編集]