第47回ステイヤーズステークス - 高齢馬3頭の挑戦と進退
【2013年12月4日】
11月30日に中山競馬場で、第47回ステイヤーズステークス(GII)が行われた[1]。レース名にある「ステイヤー(Stayer)」は、英語で「耐久力のある者・根気強い者・長距離競走を得意とする馬」を意味しており[2]、その実力を試すべく現在の中央競馬では最長となる芝3,600メートルでレースが設定されている[2]。文字通り「根気強く」競走を続けてきた10歳以上の馬が、今回は3頭参戦してきた[1]。同一レースにおいて10歳以上の馬が3頭出走するのは、中央競馬で1986年以降に実施された平地重賞では初のケースとなる[3]。
「根気強く」競走を続けてきた10歳以上の面々を紹介すると、マイネルキッツ(牡10歳、三浦皇成騎手、国枝栄厩舎)、ネヴァブション(牡10歳、後藤浩輝騎手、伊藤正徳厩舎)、トウカイトリック(牡11歳、北村宏司騎手、野中賢二厩舎)の3頭となる[1]。中でもトウカイトリックは昨年のステイヤーズステークスを制覇しており[4]、今回のレースでは連覇へ期待がかかると同時に、達成できれば中央競馬で史上初となる「11歳馬による平地重賞の優勝」へ向けてより期待の高まる展開でレースへ臨むこととなった[4]。
レースの結果は、1番人気であったデスペラードが3分45秒2で勝利した[1]。トウカイトリックは連覇こそ成らなかったものの、単勝人気では全13頭中の7番人気にとどまっていたなかで[1]、3着へ入線してみせ未だ闘争力は失われていないことを結果で示してみせた[1]。
トウカイトリックを管理する野中調教師は「よく頑張った。来年も現役」とトウカイトリックの競走生活続行を明言した[5]。次走は来年1月6日に京都競馬場で行われる万葉ステークスへ出走予定であるという[5]。トウカイトリックは今年の「天皇賞・春」へ出走した事により同重賞への8年連続出走を達成して[5][6]、同一G1の連続最多出走記録を更新しているが[5][6]、野中調教師はその背景も鑑みながら、「来年も目指すべきなのか。それとも別のレースで最年長重賞Vを狙うべきなのか。複雑」とトウカイトリックの競走生活を思案している[5]。なお、平地競走の最高齢出走記録は14歳まで競走生活を続けたミスタートウジンによって記録されており、今後トウカイトリックがどこまで「ステイヤー」として競走生活を続けられるかについても関心事の一つとなる[5]。
その一方で、ネヴァブションは今回のステイヤーズステークスを最後に、長きにわたる競走生活を終えることが関係者により検討されている[7]。ネヴァブションを管理する伊藤調教師は「生死をさまようほどの骨折などを経験しながら、よく頑張ってくれた」と同馬が「根気強く」闘い続けた競走生活を振り返った[7]。またマイネルキッツも、今回のレースを最後に競走生活を終える事がスポーツニッポンの取材により判明した[7]。マイネルキッツは横浜市の根岸競馬記念公苑で乗馬となる事が決まり[7]、マイネルキッツを管理する国枝調教師は「長く厩舎をけん引してくれた。たくさん走ってくれて感謝している。無事に乗馬になれてホッとした」と、同馬がこれまでにもたらしてきた貢献に感謝の気持ちを表した[7]。
情報源
[編集]- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 『データファイル - レース成績データ - 重賞レース一覧 - 第47回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス』 — 日本中央競馬会,
- ↑ 2.0 2.1 『今週の注目レース - 第47回ステイヤーズステークス - 歴史・プレイバック』 — 日本中央競馬会,
- ↑ 『【ステイヤーズS】トウカイトリック“総距離”168.5キロ』 — スポーツニッポン, 2013年11月28日
- ↑ 4.0 4.1 鳥谷越明 『今週の注目レース - 第47回ステイヤーズステークス - 出走馬情報』 — 日本中央競馬会,
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 『11歳馬トウカイトリック、来年も現役続行』 — スポーツニッポン, 2013年12月4日
- ↑ 6.0 6.1 『【天皇賞・春】誰にもまねできない!トリック8年連続参戦』 — スポーツニッポン, 2013年4月24日
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 『マイネルキッツ引退、根岸記念公苑で乗馬に 09年春天V』 — スポーツニッポン, 2013年12月4日