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理研の発見した原子番号113番は『ニホニウム』で申請、パブリックレビューが開始される

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2016年6月9日】

理化学研究所(理研)は2016年6月8日の22時半より、同研究所が発見した原子番号の113番に対し『ニホニウム』(英: nihonium、記号案: Nh)の名称で提案を行い、IUPACによるパブリックレビューが開始されたことを発表した[1]。理研で研究チームを率いた森田浩介グループディレクターによると、現在に至るまで新元素を発見できたチームは森田チームの他には欧米のチームしか存在しないため、このたびの113番元素に対する認定と命名はアジアで初めての出来事になるという[1]。なお、113番原子は2004年に発見されたときの仮称として今のところは『ウンウントリウム』という名が使われている[2]。「ウン」が「1」を、「トリ」が「3」を示しており「113」として構成させている[2]

国際規則で定められた新元素の命名規則は、対象元素の発見に関わった国もしくは地域、発見に携わった科学者の名前などを絡めたうえで、語尾を「イウム」 (-ium) で締めくくる構成を求められている[3]。当初は学術用語に多用されるラテン語などで日本を意味する単語に由来する『ジャポニウム』も一旦候補に挙がったものの、日本人の蔑称であるジャップ (Jap) を想起されるという批判の声があったため、森田氏は『ジャポニウム』を候補から外し、代わりに今回『ニホニウム』を正式名称として採用するに至ったという[3]

今まで候補に挙がった新元素の名称に『ニッポニウム』があるが[4]、『ニッポニウム』については過去の経緯として、元東北帝国大学長の小川正孝博士が、1908年に発見したとした43番元素[注釈 1]に対して『ニッポニウム』と命名されたのち、検証によって後に誤りであったとされたいきさつがあるという[4]。そのためIUPACのルールに則れば一度は登録された名前であるため『ニッポニウム』はもう使えない名前であるという[4]

今回のパブリックレビューは5ヶ月間と見込まれており、完了したのちIUPACから正式に発表されると理研は説明している[1]。今回『ニホニウム』がIUPACのパブリックレビューまで漕ぎ着けられたことに対し、理研の森田グループディレクターからは、「研究グループとして大変光栄なことです」と感激の声が聞かれた[1]。さらに「長期的視野に立って時間のかかる基礎科学の研究を支援してくださった研究所と関係府省、そして国民の皆様に心より感謝いたします」と周りからのサポートに感謝を表した[1]。理研の松本紘理事長からは『ニホニウム』研究の成果をもって、原子研究の極致とも言える「安定の島」へ辿り着く足掛かりとしての期待が示された[1]

注釈

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  1. 現在では実際に当時、発見されたのは75番のレニウムで、43番のテクネチウムではなかったとされている(「113 JAPAN」より)

情報源

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  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 113番元素の元素名案「nihonium(ニホニウム)」、元素記号案「Nh」のパブリックレビュー開始』 — 理化学研究所, 2016年6月8日
  2. 2.0 2.1 げんそキッズ - ウンウントリウム』 — 愛知教育大学,
  3. 3.0 3.1 伊藤壽一郎 『日本を象徴する新元素名「ニホニウム」、科学への夢ふくらむ(1/2ページ)』 — 産経新聞, 2016年6月8日
  4. 4.0 4.1 4.2 阿部周一 『113番新元素:名称案「ニホニウム」 日本初の命名へ - 毎日新聞』 — 毎日新聞, 2016年6月8日

外部リンク

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Wikipedia
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ウィキペディアニホニウムに関する記事があります。