欧州委員会がリトアニアのユーロ導入を提案、実現すれば19カ国目のユーロ導入国に

【2014年6月6日】 2014年6月4日、欧州委員会はリトアニアのユーロ導入を提案した。リトアニアがユーロ圏への加盟基準を満たしているという欧州中央銀行による審査結果を受けたもので、2015年1月1日からユーロが導入される予定。6月末のEU首脳会議において協議された後、7月末のEU財務相理事会で最終決定される。ほぼ確実に承認されるものと見られており、実現すれば2014年1月にユーロを導入したラトビアに続き19カ国目のユーロ導入国となる。

今回の欧州中央銀行の審査ではハンガリーやポーランド、ルーマニアなど8カ国がユーロ圏加盟に向けた審査を受けたが、加盟基準を全て満たしたのはリトアニアだけだった。ユーロ圏に加盟するためには、公的債務や財政赤字の対GDP比、インフレ率、金利などに関する基準を満たしている必要がある。リトアニアは2007年にもユーロ導入を目指していたが、当時はインフレ率の問題からユーロ導入には至らなかった。今回の審査でも低インフレの維持が課題として挙げられており、欧州委員会ではリトアニアのインフレ率が2015年までに0.8%ほど上昇すると予想しているが、欧州委員会のレーン副委員長はリトアニアのインフレについて「懸念するべきものではない」と述べている。現在のリトアニアの通貨はリタスであり、ユーロとの間で1ユーロ＝3.4528リタスの固定相場制を採用している。

リトアニアのユーロ導入がほぼ確実となったことを受け、格付け会社スタンダード&プアーズはリトアニアの信用格付けを引き上げ「A-」とした。また、リトアニアのブトケビチュス首相はウクライナ危機を巡るロシアへの警戒感と関連付け、ユーロ圏への加盟によってリトアニアの安全保障が強化されるとの見解を示している。