検察官不在に気付かず判決言い渡す - 奈良地方裁判所

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2010年4月29日】

毎日新聞読売新聞、スポーツニッポンによると、奈良地方裁判所4月28日UTC+9)に行われた売春防止法違反事件の判決公判で、裁判官検察官の不在に気付かないまま判決を言い渡した。

刑事訴訟法では、公判は裁判官・検察官・書記官全てが揃った状態で開くことになっており、検察官不在では開けないと規定されている。毎日新聞によると、判決を言い渡された被告人も、驚いていた様子である。

読売新聞によると、問題の公判は、同日午前11時50分に開廷。野路正典裁判官は、被告の元風俗店経営の男性(56歳)に対し、懲役2年6月・罰金50万円・執行猶予5年(求刑:懲役2年6月・罰金50万円)の有罪判決を言い渡したが、その直後に、検察官の不在に気付いた。

毎日新聞によると、野路裁判官が検察官の不在に気付いた後、書記官は電話で検察官を呼び出し、その約5分後に、検察官が何度も頭を下げながら入廷。野路裁判官は「もう一度、改めて宣告をやり直します」と前置きして判決主文を読み直した。この影響からか、量刑理由の言い渡しは一部省略された。

毎日新聞によると、被告の男性は閉廷後、「驚いた。裁判官が気付いてくれて良かった。被告はドキドキしているのだから、段取りはきちんとしてほしい」とコメントした。

毎日新聞・読売新聞・スポーツニッポンの各報道によると、奈良地方検察庁のコメントとして、遅刻した担当検察官は別の事件の処理に追われ、公判を忘れていたという。徳久正・同地検次席検事は、「二度と起きないよう十分指導していきます」とのコメントを出した。

スポーツニッポンによれば、奈良地方裁判所は「閉廷していないので、問題はない」としている。

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