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文化庁専門家会議、初会合 質問権基準、来月にも策定へ

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2022年11月5日】

2022年10月25日、文化庁世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、宗教法人法に基づく「報告徴収・質問権」の運用の基準などをまとめるための専門家会議の初会合を開いた[1]。10月17日午前の衆院予算委員会で岸田文雄首相が、宗教法人法に規定されている「報告徴収・質問権」を用いて、旧統一教会への調査を進めることを表明、委員会に先立って官邸永岡桂子文科相に「報告徴収・質問権」に基づく調査を指示したことを受けた措置。同文科相は10月25日にも検討を始めることを表明していた。文化庁はこれまで、解散請求は難しいとの立場だった[2]。会議後の文化庁担当者の話では、早ければ次回会合の11月8日にも基準案が示されると言う[3]。同文部科学相は国会で「年内のできるだけ早い時期に(教団への調査を)始めたい」と表明している[3]

初会合は19人の委員のうち18人がオンライン方式も交えて出席、座長に北沢安紀教授(慶応大法学部)を選んだ[4]。会議は冒頭を除き、非公開[1]。委員のうちの半数程度が意見を述べた[5]。質問権の行使に対する反対論は出なかったが、「信教の自由に配慮する必要がある」との意見が出たという[5]

「報告徴収・質問権」は、オウム真理教事件をきっかけに設けられた権限で宗教法人法の第78条の二に規定がある[1]。報告・答弁をしなかったり虚偽の報告・答弁をすれば罰則の対象となるが(第88条10項)、当該団体の代表者が10万円以下の過料を受けるだけの軽い刑罰にしかならない(第89条)[3]。また、捜査機関と異なり、文化庁は調査に強制力を持っていない[3]。これまでに「報告徴収・質問権」を適用した事例はなく、適用のための明確な基準がなかった。

専門家会議の委員は、文部科学省の諮問機関である宗教法人審議会のメンバーが兼務している[2]。兼務したのは、2022年内に「質問権」の行使するためには時間的な余裕がなく、新たに委員を依頼する時間がなかったためだという[2]。文化庁の専門家会議委員は以下の通り(2022年9月16日現在、50音順、敬称略、任期2年)[1][2][6]

過去に解散命令を受けた宗教法人はオウム真理教と、霊感商法で詐欺事件を起こした明覚寺(和歌山県)の2例しかなく、いずれも代表役員らが刑事罰を受けている[2]。これまでのところ旧統一教会や関連団体の役員は刑事罰を受けておらず、民事裁判での民法の不法行為しか判決は出ていない。岸田文雄首相は10月18日の衆議院予算委員会で、立憲民主党長妻昭議員の質問に対し「民法の不法行為は入らない」と答弁、解散請求の要件を、刑法違反などに限られると狭く解釈していたが、翌10月19日に岸田首相が「民法の不法行為も入り得る」と解釈を一変させる答弁を行っていた[7][8][9]

会議では委員から、「(解散命令の要件に)民法の不法行為が含まれるのでは」との意見が出たが、異論は出なかったという[1]

情報源

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  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 朝日新聞「質問権 来月にも基準案 有識者会議 教団調査へ」。『朝日新聞』、2022年10月26日朝刊13版1面。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 毎日新聞「解散命令、見えぬ実現 前例ない「不法行為」 旧統一教会質問権行使」。『毎日新聞』、2022年10月26日朝刊。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 朝日新聞「年内調査へ 文化庁急ぐ」。『朝日新聞社』、2022年10月26日朝刊13版3面。
  4. 北海道新聞「質問権基準 来月にも策定 文化庁 教団調査へ初会合」。『北海道新聞社』、2022年10月26日朝刊16版1面。
  5. 5.0 5.1 読売新聞「旧統一教会への調査、「質問権」行使に基準 文化庁の有識者会議が初会合で一致」。『読売新聞』、2022年10月26日朝刊2面。
  6. 文化庁 宗教法人審議会 第35期宗教法人審議会 委員名簿(五十音順) 2022年11月5日。
  7. 北海道新聞「被害者救済法案 今国会にも提出 旧統一教会問題 首相意向」。『北海道新聞社』、2022年10月19日朝刊16版1面。
  8. 北海道新聞「論戦の焦点 衆院予算委員会(18日)」。『北海道新聞社』、2022年10月19日朝刊16版5面。
  9. 松下文音・大沢祥子「「解散」視野 手続き本格化 質問権行使で初会合」。『北海道新聞社』、2022年10月26日朝刊16版3面。