大阪府議の定数削減議案、未明の採決で可決

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2011年6月4日】

橋下徹・大阪府知事(『大阪維新の会』代表)

産経新聞によると、大阪府5月定例府議会は、6月4日未明(UTC+9)に、橋下徹知事が代表を務める『大阪維新の会』(以下、「維新の会」)所属の府議団によって提案された、議員定数を21議席削減して109議席から88議席とする条例改正案について、単独過半数を占める維新の会などの賛成多数で可決・成立し閉会した。

朝日新聞によると、維新の会側が、3日までとされていた5月議会の会期を延長した上で採決に持ち込み可決。反対する公明自民民主共産の各会派は、「維新の会には議論する気が無い」などとして本会議を欠席した。これによって、維新の会と他会派との亀裂が鮮明になった。

産経新聞によると、維新はこれにより、5月議会に議員提案した4議案について、全て賛成多数で可決させたことになるが、定数削減案の審議を前に、上野和明・同市議会副議長(民主党)が副議長の辞職届を提出するなどしており、議会運営を巡る既存政党との対立が激化することになった。

産経新聞によると、今回成立した改正条例の定数は、「人口10万人当たり議員1人」を適数として定数を割り振ったもので、定数は21議席減となるものの、「一票の格差」については、現行の2.2倍から2.88倍と逆に拡大する。一方、定数を87議席とする内容の独自の削減案を準備していた公明党の他、自民党も水面下で、定数88議席とする削減案を用意していたものの、「維新の会には、他会派から出された議案を審議する意思が無い」などとして、正式提案は見送った。

産経新聞によると、この日の本会議では、公明・自民・民主・共産の各会派が欠席する中、維新の会が提案理由を説明。討論も行われることは無く、実質審議も行なわれないまま、維新の会が提出した案を賛成多数で可決・成立した。

朝日新聞によると、議員定数を一気に21議席削減するのは、都道府県議会において異例の削減幅。2011年までの8年間にあっては、静岡県議会が2回にわたり計9議席を削減したケースが最大。維新の会の案は、21の選挙区で1議席ずつ定数を削減するものの、先述のように一票の格差が拡大するため、他会派は見直しを要請。公明党や自民党は、特別委員会の設置や対案提出を模索したものの、維新の会は、「10年前から3議席しか削減できていない」として、早期決着を譲らなかった。

朝日新聞によると、公明党は、会期延長を阻止することで維新の会の案を「廃案」に持ち込まんとして、同日午前0時前に所属議員らが議場入口で浅田均議長(維新の会)の入場を妨害、公明と維新の会の議員が揉み合いになるなどし、議場付近は一時騒然となった。一方、上野副議長は、「強権的な議会運営に抗議する」として、辞職届を提出した。

産経新聞によると、橋下知事は、本会議閉会後、「採決のやり方には賛否両論が存在するかもしれないが、府民に対し不利益を与える案件ではない。今まで何も起こらずシャンシャンで終わっていた議会と比較すれば、正しい地方議会の在り方の第一歩である」とコメントした。

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