国連安保理の中南米枠、パナマに決定
【2006年11月9日】
国際連合総会は7日、安全保障理事会(安保理)の次期非常任理事国の中南米枠としてパナマを正式に選出した。時事通信などが伝えた。国際連合によれば、安保理で現在中南米を代表しているアルゼンチンの後継をめぐって、主にベネズエラとグアテマラが対立していたが、いずれの国も当選に必要な3分の2の得票率(128票)を獲得する事ができずにいた。
国際連合の発表などによれば、先月16日から31日に至るまで、極めて異例の47回にも及ぶ投票が行われた。ベネズエラの得票数がグアテマラを上回る事はなかったものの、いずれの候補も128票には及ばず、膠着状態が続いていた。ウィキペディア英語版によれば今月1日、ベネズエラ・グアテマラ両国の外相が、同日の投票の中止を要請する共同声明を発表した。その後、VOAの報道によると、両国はエクアドルの国連大使の仲介の元、中立案としてパナマを擁立して膠着状態から脱却する事で合意したと発表。中南米諸国もこれに一致して同意し、総会の第48回目の投票でパナマが164票を集め、正式に選出された。
Bloombergによれば、ベネズエラ大統領のウゴ・チャベス氏は国連総会において、アメリカ合衆国大統領のジョージ・W・ブッシュ氏を「悪魔」と呼ぶなど強硬な反米路線を打ち出している。国際連合によれば、ベネズエラの代表は「ベネズエラは安保理内での独立した声となるため立候補した」と語っており、ウィキペディア英語版によれば、ベネズエラの今回の立候補はアラブ連盟やアフリカ連合の加盟国の多数から支持されていた。ベネズエラは過去に4回、理事国となった事がある。
一方で、グアテマラは米国をはじめとしてメキシコや西ヨーロッパ諸国から支持されていた。同国は国連設立時に国連憲章に署名した50ヶ国のうち、未だ安保理に属した事のない6国のうちの1つである。国際連合によれば、同国代表は今回理事国となれなかった事は残念だとした上で、2012年から2013年の改選時に選出される事を目指す、と語った。
中立候補として挙げられたパナマは過去に3回、非常任理事国となった事がある。
現在の非常任理事国10ヶ国のうち今回改選されるのはアルゼンチン、ギリシア、タンザニア、デンマーク、日本の5ヶ国で、これらに代わってパナマ、イタリア、インドネシア、南アフリカ、ベルギーが、来年1月1日から2年間非常任理事国を務める。
非常任理事国の選出をめぐって投票が長期化した過去の例としては、1979年に中南米枠をめぐってキューバとコロンビアが争った事がある。この時は154回の投票が行われてもなお決まらず、メキシコが中立候補として立候補し、選出された。
出典
[編集]- 国際連合広報局 "'Tug-of-War' Between Guatemala and Venequela for Security Concil Seat Loosens; Panama Steps In, Recieves General Assembly Majority After 48 Secret Ballots"。国際連合事務局、2006年11月7日。
- 『非常任理事国にパナマ選出=改選作業、ようやく終了−国連総会』 — 時事通信, 2006年11月8日
- 白川義和 『安保理中南米枠、パナマに決定…投票48回目で決着』 — 読売新聞, 2006年11月8日
- 坂東賢治 『国連安保理:非常任理事国、中南米枠はパナマ選出』 — 毎日新聞, 2006年11月8日
- "2006 United Nations Security Council election"。Wikipedia、2006年11月8日。
- Peter Heinlein "Venezuela, Guatemala Give Up Battle for Security Council Seat, Choose Panama"。VOA、2006年11月2日。
- Bill Varner "Chavez's Push for UN Council Seat Sets Up a Showdown With U.S."。Bloomberg、2006年10月11日。