初代EU大統領にベルギーのファン・ロンパウ首相が選出
【2009年11月23日】
欧州連合(EU)は11月19日(UTC+1)、ベルギー・ブリュッセルで特別首脳会議を開き、今年12月1日発効予定の新条約(リスボン条約)に基づき新設される欧州理事会常任議長(EU大統領)にベルギーのヘルマン・ファン・ロンパウ首相(62)を、欧州連合外務・安全保障上級代表(EU外相)にイギリスのキャサリン・アシュトン欧州委員(通商担当・53)を、それぞれ全会一致で選出した[1][2]。
EU大統領は、27カ国に増加したEU加盟国の首脳会議をまとめる役職であり、対外的な「EUの顔役」となる[1]。従来、中央と加盟国の間で一本化されていなかった対外的な窓口をまとめるため、リスボン条約に創設が盛り込まれた[2]。任期は2年半で、1度のみ再選が可能とされている[1]。EU外相は、欧州委員会と各加盟国に分かれていた外交の権限や予算を束ねる役職となり、新たに設立される対外活動庁(外務省にあたる)を率いていくこととなる[1]。任期は5年[2]。
EU大統領の選出を巡っては、EUとしての意志決定に大きな影響力を持つフランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相が、各国の政権で多数派である中道右派から選出することを合意。大国出身者のリーダーを警戒する中小加盟国の意見にも配慮し、現EU議長国スウェーデンのラインフェルト首相がファン・ロンパウ氏への一本化を図った[1]。ファン・ロンパウ氏は2008年末にベルギー首相に就任し、国内のフランス語圏とオランダ語圏の対立をまとめた調整能力が評価された[2]。
イギリスはブレア前首相を大統領候補に推していたが、ブレア氏の首相在任中のイラク戦争参加や、イギリスがユーロ圏に入っていないことなどが響き[2]、最終的にファン・ロンパウ氏に同意することとなった[1]。
一方でイギリスは外相の地位を確保する方針に変更[2]。EU主要ポストの男女バランスを考慮する論調が強まる中、女性のアシュトン氏が外相に選ばれることとなった[1][2]。
ファン・ロンパウ氏は記者会見で「私の役割は、27の加盟国の合意を探っていくこと」と述べ、さまざまな違いをもつ加盟国間の融和に努める考えを示した[1]。
情報源
[編集]本ニュースは「朝日新聞」と「毎日新聞」の以下の報道を情報源としている。