リベリア、内戦後はじめての選挙
【2005年10月12日】
10日、アフリカ西部のリベリアで、大統領選挙と上下両院議会の選挙が同時に行われた。1989年からはじまった内戦後、従って2003年のテイラー政権崩壊後、初めての選挙となる。
大統領選挙には22人が立候補した。有力とされるのは、元サッカー選手のジョージ・ウェア候補(40)と、元国務相のエレン・ジョンソン・サーリーフ候補(66)。アルジャジーラによれば、ほかに弁護士、元軍閥指導者などが立候補した。
ウェア候補は、1995年国際サッカー連盟(FIFA)最優秀選手に選ばれた有名選手で、おもにヨーロッパで活躍してきた。報道によれば、政治経験はないが、30代以下の若い世代や貧困層を中心に支持されている。ボストングローブ紙は、教育や政治経験のないことが批判者から指摘されていると伝えている。一方のサーリーフ候補は、1997年の大統領選で次点となった有力政治家で、米ハーバード卒、70年代に閣僚を経験し、国連開発計画での勤務の経験がある経済通である。サーリーフ候補が当選すれば、アフリカ初の女性大統領となる。ボストングローブ紙は、サーリーフ候補の批判者は、彼女もまたこの国の荒廃を招いたひとりであり、除けられるべきだと主張していると伝えた。
大統領選挙とともに、上院(定員30人)、下院64人(定員64人)の選挙も行われた。リベリアはアメリカ合衆国からの解放奴隷によって建国された共和国であり、議会制度はアメリカを模倣している。
朝日新聞によれば、登録有権者は約135万人と発表されている。教会、学校、閉鎖中の銀行などを使い、UPIによれば3,070の投票所が設けられた。投票は午前8時に開始、午後6時に終了した。一部の投票所では終了時刻以降も投票を受け付けた。国際選挙監視団を含め1,300人以上が監視を行った。朝日新聞は大きな混乱はなかったと報道した。
各紙は、投票所に投票開始前の深夜から行列ができたと伝えている。ボストン・グローブ紙によれば投票率はまだ公開されていないが、高いと推測されている。アルジャジーラによれば開票は11日の夜からはじまっている。
報道によれば、大統領選の結果の公式発表は10月26日までに行われる。UPIによれば、英タイムズ紙はそれより早く確定する可能性もあるとしている。過半数を得る候補がいない場合は、11月8日に決選投票を行う予定。
14年にわたる内戦ののち、テイラー前政権が2003年8月に大統領の国外逃亡で崩壊した後、リベリアには国連平和維持軍(UNOMIL)1万5,000人が駐留し、暫定政権が統治してきた。現在も、国外に20万の難民がいる。新大統領には、国を統一し、安定させることがなによりも課題となる。
ドイツ語ウィキニュースの翻訳を含みます。
出典
[編集]- 『リベリアで内戦後初の大統領選 元サッカー選手も立候補』 — 朝日新聞, 2005年10月12日
- 『リベリアで大統領選、元サッカー選手ら有力』 — 日本経済新聞, 2005年10月12日
- 『リベリアで大統領選 内戦終結後初、議会選も』 — 共同通信/中国新聞, 2005年10月11日/12日
- "Counting of votes begins in Liberia"。Aljazeera、2005年10月12日。
- "Liberians line up to vote for president"。Boston Globe、2005年10月12日。
- "Liberians vote for president"。News24、2005年10月11日。
- "Fußballstar könnte Liberias Präsident werden"。orf.at、11.10.2005
- "Liberia conducts historic vote"。UPI/Sciencedaily.com、2005年10月11日。