ベルギー、チャド前大統領を人道に対する罪で起訴

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2005年10月1日】

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イッセン・アブレ前チャド大統領(左)。1987年撮影
(欠落しているコモンズからの画像: 画像; ログ)
チャドの位置
ベルギーの位置
セネガルの位置

イッセン・アブレ前チャド大統領がベルギーで起訴された。人権団体はこの起訴を歓迎している。アブレ前大統領は1982年から1990年にかけて、チャドの大統領だった。独裁者として知られ、人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」に「アフリカのピノチェト」と形容されたことがある。今回の起訴は、在職中にかかわったとされる一連の人権侵害により、「人道に対する罪」を問うもの。

1992年、チャドの「真実委員会」はアブレ政権の組織的な拷問の証拠を入手し、4万人以上が殺されたと告発した。一方、チャド政府はアブレ前大統領を訴追するいかなる試みも示さなかった。ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、チャド政府には最近までアブレ前大統領の協力者が数多く含まれていた。

アブレ前大統領は現在セネガルにいる。2000年に、拷問と人道に対する罪の嫌疑でセネガル当局に逮捕された。しかし翌年、セネガルの高等裁判所は、国外で行った罪に対してアブレ前大統領を訴追することはできないと判断を下した。

国際法の元では、すべての国は、戦争犯罪人、大量虐殺、人道に対する罪について、犯行がどこでなされたかにかかわらず、容疑者を訴追する権利をもっている。

ベルギーは、国内の裁判所にこのような裁判を行う権限を法律で認めている。こうした国家は世界でも数少ない。

2001年6月に、4人のルワンダ人がベルギーの裁判所で国際法に反するとして有罪判決を受けた。4人は1994年の虐殺に加担していた。この虐殺は『ホテル・ルワンダ』として映画化されている。

イスラエルのアリエル・シャロン首相など、各国の現在の指導者をベルギーの法廷で裁こうとするいくつかの議論を呼ぶ試みが続いた後、ベルギーは最近この法律の適応範囲を狭める改正を行った。しかし法律改正前に提訴された件はこの法律をそのまま適応することが許されている。今回の起訴もそのひとつである。

セネガル政府は最近、国際連合からの圧力により、逃亡阻止のため、アブレ前大統領を拘留した。ベルギーは現在セネガル政府に対して犯罪者引渡し請求を行っている。

英語版ウィキニュースからの翻訳に基づきます。

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