ベネッセ個人情報流出事件 派遣システムエンジニア社員を逮捕
【2014年7月17日】
通信教育会社「ベネッセコーポレーション(以下ベネッセ)」の顧客個人情報が大量に流出した事件で、警視庁は7月17日、データベース管理会社への派遣社員として働いていた府中市のシステムエンジニア・松崎正臣(まさおみ)容疑者(39)を不正競争防止法違反の営業秘密の複製容疑で逮捕した。[1]
捜査関係者によると、松崎容疑者は去る6月、多摩市にあるベネッセのグループ会社「シンフォーム」の事業所で、顧客のデータベースから、子供やその保護者の個人情報を複製して持ち出したとされている。このデータベースにはベネッセの通信講座を利用する子供やその保護者の氏名・生年月日など、約2070万件の個人情報が収録されている。松崎容疑者はIT関係の人材派遣会社からの派遣社員で、顧客データベースの保守管理やソフト開発を担当していた。また若手のシステムエンジニアの指導する立場で、データベースへアクセスできるIDをもらっており、そのIDを使ってデータベースにログインし、顧客情報を自らの私物の記録媒体にコピー。さらにそれを自宅にあるパソコンを使って別の記録媒体に複製して、都内の名簿業者に持ち込んだとされている。[2]
松崎容疑者はこれまでの任意事情聴取に対して、2013年末から去る6月にかけて、これら個人情報の複製と名簿業者への転売を繰り返したことを認め、その上で「複数回にわたって数百万円で売った。借金の返済などに充てた」と供述しており、警視庁生活経済課は、転売を目的とした顧客情報の無断コピーを繰り返したとみて、流出の経緯を調べるとともに、不正競争防止法違反の開示容疑での捜査も進めるとしている。[1]
ベネッセ社長は再発防止策を報告
[編集]今回の個人情報流出事件を受けて、ベネッセの原田泳幸(えいこう)社長は7月17日、茂木敏充経済産業大臣に対して、今回の事件に至った経緯や、今後のセキュリティー対策の強化などの再発防止対策を報告した。今回の事件で経済産業省は、個人情報保護法に基づき、ベネッセに対して詳しい事実関係の報告を求めていた。[3]
今回提出された報告書は、詳細な事実関係と、今回の流出事件発覚後の対応や安全管理の状況、今後の再発防止策などが盛り込まれており、経済産業省からベネッセに対し7月10日に提出するように指示を出した。ベネッセは記載内容の詳細開示は「警察の捜査に影響する」として差し控えている。またベネッセは7月15日に情報漏えいの原因を究明し、改善策を提案するために「事故調査委員会」を発足。茂木経済産業大臣は「外部の専門家による十分なチェックが必要であり、国民の関心が極めて高い」として、事故調査委員会の調査結果に基づいて、最終報告の提出をするように求めており、この報告書を精査して9月までに対応を決めるとしている。[4]
ベネッセの原田社長は報告書の提出後「ご心配とご迷惑をおかけしていることを深くお詫びします」と謝罪し、その上で、今後の原因究明については、「外部の専門家による調査委員会を発足したばかりだ。期間を明言することはできないが、1日も早く報告するべきと考えている」としている。[3]
情報源
[編集]- ↑ 1.0 1.1 『派遣SEの39歳男を逮捕 警視庁 「借金があった」』 — 産経新聞, 2014年7月17日
- ↑ 『ベネッセ名簿、数百万円で売却か…管理担当SE』 — 読売新聞, 2014年7月17日
- ↑ 3.0 3.1 『ベネッセ社長 再発防止策を報告』 — 日本放送協会, 2014年7月17日
- ↑ 『ベネッセ社長「安心と信頼取り戻す」 経産相に報告書』 — 日本経済新聞, 2014年7月17日
関連記事
[編集]- 通信教育のベネッセで顧客情報流出(2014年7月13日付)