トルコ、EU加盟交渉足踏み 「申請撤回も」

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2005年9月3日】

トルコの国旗
欧州連合旗

2日、トルコは、欧州連合(EU)への正式加盟に新たな条件が追加されるか、正式加盟でなくそれにかわる地位が提案されるなら、EU加盟申請を撤回すると欧州諸国を牽制した。9月1日と2日にイギリスのウェールズで行われた欧州外相会談ではトルコのEU加盟が焦点となっていた。ロイターなどの報道によると、タイイップ・エルドアン・トルコ首相は2日、トルコは加盟交渉に必要なことはすべて行った、トルコはEUに対してこれ以上の譲歩はできない等と語った。

アブドゥッラー・ギュル・トルコ外相はイギリスの雑誌『エコノミスト』のインタビューに応じ、次のように語った。「EUが、トルコ正式加盟以外の何かのために作業したり、新しい条件をトルコに付すことが避けられないなら、我々は退く」。「EUが協定でどうしても維持したいものがあるというなら、われわれの側にも守ってきたものがある」。その場合、トルコの申請撤回は避けがたいものとなる。

トルコがEU加盟国であるキプロスを承認していないが、このことが、最近になって一部のEU諸国との間の緊張を強めている。7月末にトルコは「アンカラ議定書」を起草し、新たにEU10ヶ国とキプロスに対し、関税協定を適応するとしたが、同時にこの協定が、国際法上キプロス共和国を承認することを意味しないことを明言していた。

キプロスは1974年のトルコ派兵以来、南のギリシャ系住民によるキプロス共和国と北のトルコ系住民地区(北キプロス・トルコ共和国)に分断されている。トルコは南のキプロス共和国を承認しない一方、国際社会で唯一、1983年に独立を宣言した北キプロス・トルコ共和国を承認している。

8月28日に、ドイツの保守系首相候補アンゲラ・メルケルなどが、キプロス未承認問題などを理由に、トルコのEU正式加盟に反対し、代わりに「特権的パートナー」としての地位を提案していた。オーストリアなどもこの提案を支持していた。

拡大総局担当のオリー・レーン欧州委員は、トルコの反発にもかかわらず、欧州参加25ヶ国が既に行った決定を覆すことはないとみている。同委員は、おそらくこうしたトルコ側の発言はトルコの完全加盟のための駆け引きであるとした。また同委員は、加盟交渉が成功するかどうか前もって保証することはできないと述べた。

1日と2日行われた欧州外相会談では、10月にトルコの公式な加盟交渉が始まるかどうか結論が出る可能性もあると思われていたが、結論がでなかった。トルコが公式に加盟交渉を行うための準備工作は、結局、9月に入っても続くことになった。

ドイツ語版ウィキニュースの翻訳を含みます。

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