スリランカ大統領選、ラージャパクサ首相が辛勝

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)
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【2005年11月19日】 17日投票が行われたスリランカ大統領選について、スリランカ中央選挙管理委員会は、18日、マヒンダ・ラージャパクサ首相の当選を発表したとロイターなどが伝えた。ロイターによれば、ラージャパクサ首相の得票率は50.29%、488万7,152票を獲得した。2位のラニール・ウィクラマシンハ前首相は48.43%、 470万6,366票で、約18万票差と僅差での勝利となった。BBCなどによれば、同大統領選には、13人の候補者がいたが、事実上ラージャパクサ首相とウィクラマシンハ前首相の一騎打ちとなっていた。

CNNは、有権者の2割を占めるタミル人の棄権により、ウィクラマシンハ候補が票を失ったとしている。ロイターによれば、タミル人有権者は約50万人で、ウィクラマシンハ候補に投票するだろうと見込まれていた。ロイターは、この棄権をタミル人武装組織のタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)によるボイコットの影響であると伝えた。BBCなどによれば、投票率は約75%であったが、タミル人の多い地域での投票はほとんど行われなかった。

ロイターなどによれば、ラージャパクサ次期大統領は、マルクス主義者であり、同国の少数民族であるタミル人の分離独立要求に対しては、強硬な姿勢をとってきたことで知られる。スリランカは8割が主に仏教徒のシンハリ人、2割が主にヒンズー教徒のタミル人から構成されるが、タミル人には分離独立を主張する動きがある。また、現在LTTEはスリランカ北部および東部の一部を実効支配している。

外務省資料などによれば、右派のウィクラマシンハ前首相は在任時、LTTEとの和平交渉を開始したが、社会主義者であるラージャパクサ首相は対話路線に消極的であり、連邦制の採用などの譲歩より中央集権制の維持を主張していた。このためLTTE側も和平交渉に近年は積極的な動きをみせていない。17日のロイターやBBCによれば、LTTEは武力行使による脅しを含む大統領選投票のボイコットを行った。

ロイターなどは、ラージャパクサ次期大統領が、選挙後の記者会見で民族間の「名誉ある和平」を実現すると約束したと伝えた。一方、日本経済新聞は、ラージャパクサ次期大統領の支持政党である極左民族主義政党の発言力が強まる可能性を指摘し、和平交渉の後退への懸念があると伝えている。ロイターやBBCは、ノルウェーのソールハイム開発相が今後の状況に強い懸念を示し「懸念となっている地域で、暴力が制御できない状態になる懸念がありえる」と語ったと伝えた。ノルウェーは和平交渉の調停役として関わってきた。ロイターは、専門家の推定では内戦によるこれまでの死者は約6万4千人であると伝えている。

また、スリランカは昨年12月のスマトラ沖地震による津波で経済に大きな痛手を受けている。BBCなどは、新大統領にとって、民族問題と同時に経済再建が大きな課題になると指摘している。BBCによれば、スリランカの経済界はウィクラマシンハ前首相を支持しており、ラージャパクサ次期大統領の当選が正式に発表された後、平均株価が7%下落した。

BBCによれば、ラージャパクサ首相は、今日土曜日に就任宣誓を行う。そののち首相の任命と内閣の組織が行われる予定である。

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