スマートフォンアプリ「Pokémon GO」日本でも公開開始 - 政府が注意喚起も
【2016年7月25日】
アメリカなど海外で人気を集めていた[1]スマートフォンアプリの「Pokémon GO」が、7月22日日本でも配信が始まった[2]。Pokémon GOは、任天堂とポケモン、Ingressを開発したアメリカのナイアンティック社が共同開発した[3]スマートフォン向けのゲームで、カメラやGPSを利用して[2]街角などにいるポケモンを捕まえたり、対戦できるゲームとなっている[3]。
海外では
[編集]先行で配信されていたアメリカでは、配信開始後すぐにスマートフォンアプリのダウンロードランキングで史上最短で1位になったほか、ニューヨークにあるセントラル・パークでは、ポケモンを探す人が一杯になるといったことが起きている[3]。一方で、「アーリントン国立墓地」や「ホロコースト記念博物館」などの厳粛な場所にもポケモンが出現することから、関係者が遊ばないよう呼びかけをしているほか[3]、ホワイトハウスの報道官が「安全上の問題が持ち上がっている。ポケモンを探すときも常識を逸脱しないでほしい」と注意を思い出す呼びかける[4]など問題も発生していた。また、インドネシアでは政府等の公的機関の職員が職場で使用することを政府機関の安全と機密の問題から禁止したほか[5]、マンチェスター・ユナイテッドFC(イングランド)の監督が選手に試合前48時間は使用を禁止する通達を出している[6]。
政府や企業などは注意喚起も
[編集]アメリカなどの事件や事故を受けて、日本の内閣サイバーセキュリティセンターも配信開始前に「ながらスマホをしないこと」、「危険な場所で遊ばないこと」、「天気に気をつけること」、「熱中症に気をつけること」などの注意喚起を呼びかけていたほか[7]、菅義偉内閣官房長官は「日本のコンテンツが世界で広く親しまれているのは喜ばしいこと」と述べた上で、「スマートフォンを安全に使うための注意点を守って欲しい」と述べていた[8]。また、JR西日本では来島達夫社長が会見で「列車やホームで事故に遭わないように、どのように啓発を行っていくか考える必要がある」と述べ、事故を防ぐ対策を検討することを表明したほか[9]、大阪市の吉村洋文市長も地下鉄やバスで「ながらスマホ」をしないよう注意喚起を強める考えを示している[9]。原子力規制委員会もアメリカで少年が原発敷地内に侵入した事件を受け、日本の電力事業者に対して、警備を強化するように呼びかけている[10]。出雲大社(島根県出雲市)や金刀比羅宮(香川県琴平町)では、ホームページなどで境内では遊ばないよう告知しているほか[11]、富岡製糸場(群馬県富岡市)では、「立ち入り禁止の場所や事故に注意し、周囲に配慮してください」といった看板を設置している[11]。気多大社(石川県羽咋市)でも敷地内での使用を禁止したほか、運営会社に対してポイントから外すよう求めている[12]。三井孝秀権宮司は、「神社には階段があり、「Pokémon GO」をするのは危険だと思う」と述べ、「今後もけが人がでないよう気をつけたい」としている[12]。また、運営会社はインターネットオークションで、アカウントの売買が行われているとして、注意を呼びかけている[13]。運営会社はNHKの取材に対して、「利用規約で禁止しているアカウントの売買は不正行為で、判明した場合は削除や法的措置を取ることもある。ルールを守って楽しんで欲しい」と述べている[13]。
Pokémon GOを巡る事件や事故
[編集]日本で配信が始まった以降の週末に各地で発生した、事件や事故の概要を以下に示す。
- (22日午前)熊本城で立ち入り禁止区域に入ろうとした男が注意を受けた。これを受け熊本市は、任天堂に対して敷地内にポケモンが出ないよう申し入れを行った[事件・事故 1]。
- (22日午後)宮城県大崎市、団地の敷地内に男2名が侵入し、見つけた住人と口論になり警察官から口頭注意を受けた[事件・事故 2]。
- (22日午後)京都御所で塀に近づき侵入防止用の警報器を鳴らした学生が警察官に注意を受けた[事件・事故 1]。
- (22日午後)東京都練馬区、「Pokémon GO」をしながら自転車を運転していた大学生と自転車を運転していた主婦が衝突する事故が起き、警察庁は大学生に口頭注意した。大学生は「赤信号を見逃した」としている[事件・事故 3]。
- (22日深夜)京都府亀岡市で原動機付自転車を運転しながらスマートフォンを使用したとして道路交通法違反で検挙された[事件・事故 4]。
- (23日)愛知県名古屋市、立ち入り禁止の水道施設に男が侵入した。河村たかし名古屋市長は運営会社に対して、対象外とするよう申し入れを検討している[事件・事故 5]。
- (23日午後)岡山県倉敷市、軽ワゴン車を運転しながらスマートフォンを使用したとして男が道路交通法違反で検挙された[事件・事故 6]。
- (23日午後)東京都渋谷区、「Pokémon GO」をしていた女性の腕を掴んだとして、男が暴行の容疑で逮捕された[事件・事故 7]。
- (24日午前)佐賀県武雄市、ミニバイクを運転しながらスマートフォンを使用したとして男が道路交通法違反で検挙された[事件・事故 6]。
- (24日午前)岡山県岡山市、軽自動車を運転しながらスマートフォンを使用したとして女2人がそれぞれ道路交通法違反で検挙された[事件・事故 6]。
- (24日午後)兵庫県神戸市、乗用車を運転しながらスマートフォンを使用したとして男が道路交通法違反で検挙された[事件・事故 6]。
- (24日午後)愛知県名古屋市、自転車に乗りながら「Pokémon GO」をしていた女子大生がミニバイクに乗った男にひったくり被害を受けた[事件・事故 8]。
- (24日午後)東京都大田区、ワゴン車を運転しながらスマートフォンを使用したとして男が道路交通法違反で検挙された。都内では、25日朝までに同様の交通法違反行為が5件発生している[事件・事故 3]。
- (24日午後)岐阜県美濃市、「Pokémon GO」をしながら高速道路を歩いていた男が警察官に保護された。男は道に迷って高速道路に入り込んだと話しており、警察官から厳重注意を受けた後に家族に引き渡された[事件・事故 9]。
- (25日午前)岐阜県大津市、乗用車3台を巻き込む玉突き事故が起きた。最初に衝突した車を運転していた男は「ポケモンを探すのに夢中になっていた」としている[事件・事故 10]。
情報源
[編集]- ↑ 『News Up 日本での配信まだ? ポケモンGO』 — 日本放送協会, 2016年7月20日
- ↑ 2.0 2.1 『「ポケモンGO」 日本でも配信開始』 — 日本放送協会, 2016年7月22日
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 篠原修司 『「ポケモンGO」世界に与えた衝撃と波紋』 — 読売新聞, 2016年7月20日
- ↑ 『「地雷に注意を」 ポケモンGOの利用者に呼びかけ』 — 日本放送協会, 2016年7月22日
- ↑ 古谷祐伸 『公的機関の職員、職場でポケモンGO禁止 インドネシア』 — 朝日新聞, 2016年7月20日
- ↑ 共同通信(ロンドン) 『マンU、ポケモンGO制限 試合の48時間前から禁止』 — 朝日新聞, 2016年7月25日
- ↑ 『ポケモンGO 集中しすぎの事故に国が注意喚起』 — 日本放送協会, 2016年7月21日
- ↑ 『官房長官 「ポケモンGO」で公共マナー順守など注意喚起』 — 日本放送協会, 2016年7月21日
- ↑ 9.0 9.1 『「ポケモンGO」 駅での事故防止策検討へ JR西日本』 — 日本放送協会, 2016年7月21日
- ↑ 『「ポケモンGO」 原発の事業者に注意呼びかけ』 — 日本放送協会, 2016年7月22日
- ↑ 11.0 11.1 共同通信 『「ポケモンGO、注意を」 対応に追われる観光地』 — 日本経済新聞, 2016年7月23日
- ↑ 12.0 12.1 『「ポケモンGO」神社がポイントから外すよう求める 石川』 — 日本放送協会, 2016年7月23日
- ↑ 13.0 13.1 『ポケモン 早くも個人のアカウント売買 不正行為と注意』 — 日本放送協会, 2016年7月24日
情報源(事件・事故)
[編集]- ↑ 1.0 1.1 『京都御所の警報機鳴らす、熊本城では禁止区域に… 出雲大社は締め出しへ 「ゲームが悪いわけではないが…」』 — 産経新聞, 2016年7月22日
- ↑ 『ポケモン 団地に無断立ち入り 住民と口論に』 — 日本放送協会, 2016年7月22日
- ↑ 3.0 3.1 『ポケモンGOをしながらの運転やめて 警視庁が呼びかけ』 — 日本放送協会, 2016年7月25日
- ↑ 『週末各地でポケモンGO熱中=スカイツリー、世界遺産前でも-バイク蛇行で反則切符』 — 時事通信社, 2016年7月23日
- ↑ 『立ち入り禁止の水道施設に男侵入 名古屋市』 — 毎日新聞, 2016年7月25日
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 『運転中の「ポケモンGO」で検挙相次ぐ』 — 日本放送協会, 2016年7月24日
- ↑ 深津誠 『ゲーム中の女性に暴行容疑 撮影と勘違い』 — 毎日新聞, 2016年7月25日
- ↑ 『自転車に乗ってポケモンGO 女子大学生ひったくり被害』 — 日本放送協会, 2016年7月24日
- ↑ 『ポケモンGOで道に迷い高速道路へ 男性を保護 岐阜』 — 日本放送協会, 2016年7月25日
- ↑ 『車3台玉突き 最初に追突の男性「ポケモンGOに夢中」』 — 日本放送協会, 2016年7月25日