シベリア抑留の国家賠償訴訟で原告側の請求棄却 - 京都地裁

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2009年10月29日】

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毎日新聞朝日新聞によると、第二次世界大戦後、旧ソ連によってシベリアに抑留された元日本軍ら計57人(うち5人は死亡)が、に対し1人当たり1,100万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁吉川慎一裁判長)は10月28日UTC+9、以下同様)に、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。

毎日新聞によると、同種の集団訴訟は、日本全国で4例目となる。

朝日新聞によると、この訴訟の原告は、関東近畿などに住む元日本軍将兵らで、平均年齢は85歳。原告らは、終戦後にシベリアなどへ連行され強制労働を課された。その後、冷戦終結後にロシアで発見された資料に基づき、大本営参謀関東軍が、旧ソ連に対し日本軍将兵の抑留と強制連行を認めたとし、国による遺棄行為や安全配慮義務違反があったと主張していた。 一方、国側は「過去の訴訟で解決済みの問題を蒸し返しているに過ぎない」と主張し、請求を退けるよう求めていた。

毎日新聞によると、判決では、原告側が「関東軍総司令部からソ連への役務提供の申し出」と指摘していた「ワシレフスキー元帥に対する報告」について、「食料や防寒について配慮するよう希望しており、将兵を引き渡すためのものではない」とし、遺棄行為が存在したとする証拠とは認めず、請求を退けた。

朝日新聞によると、一方で同地裁は、「シベリア抑留による被害は深刻且つ甚大だった」とし、2009年現在まで補償を定めた立法や予算措置が行われていないことに触れ、「政治的決断に待つべきもの」と指摘。原告団は「今後、速やかな政治的解決を求める」とコメントした。

毎日新聞によると、原告らは「年寄りは早く死ねという今日の判決は、国による完全な棄民政策だ」、「権利侵害を救済すべき司法の責務を放棄するもの」などと判決を厳しく批判しており、控訴する方針である。

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