カナダ・オンタリオ州、宗教法による調停を全廃へ

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)
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【2005年9月13日】

オンタリオ州の旗
オンタリオ州の位置

カナダオンタリオ州で、11日(現地時間)、1991年から合法化されていた宗教法による民事調停を撤廃するとの発表がなされ、波紋を呼んでいる。カナダの報道機関をはじめ、BBCなどが報じた。

イスラム法(シャリーア)による調停を認めるよう州知事への法律専門家からなされた勧告を受けて、11日、ダルトン・マクグィンティ州知事が発表した。知事は、ムスリム法調停の不採用とともに、近い将来、すべての宗教法に基く調停を停止すると述べた。マクグィンティ州知事は「オンタリオはひとつの法律のもとになければならない」「宗教による調停の停止は可能な限りすぐに行う」と述べた。

オンタリオ州では、1991年の「調停法」により、関係者双方の合意があるとき、民事に限り、宗教法による調停が認められ、子どもの養育権や結婚などを取り扱っていた。調停の内容はカナダの法律と適合することが定められていた。これまではユダヤ人とカトリックが対象だったが、イスラム教徒がこの法律の適応をもとめ、審議中だった。

イスラム法が適用されることにより、女性の権利などが侵害されるのではないかという懸念が指摘され、BBCによれば、カナダ国内だけでなく、ヨーロッパでも反対運動が行われていた。またカナダ国内には、かねてから法体系上、宗教法と世俗法の並立が価値観の違いなどから不可能であるとして、宗教法による判断を法システムのなかに取り入れることへの反対があった。女性の人権確保を訴えてきた人権活動家に加え、トロント大学の学生グループなど、これまで宗教法の適応自体に反対してきた活動家は今回の決定を歓迎している。

一方、宗教関係者には動揺が広がっている。決定は事前の予告なしになされたが、ただちにユダヤ教を中心とする宗教関係者からの反対がおこっている。

カナディアン・プレス紙は、オンタリオ州の野党指導者ジョン・トーリー氏の発言を伝えている。トーリー氏は、こうした反対運動などの動きは知事の指導力不足であり、知事に指導力があれば論争自体を回避できたと批判しつつ、宗教界と世俗の制度を分離する今回の決定自体は、結果的には正しい選択であると評価している。

2001年の国勢調査ではカナダに住んでいるイスラム教徒は約60万人であったと、BBCは伝えている。

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