ウズベク、アンディジャン事件裁判続く―米軍は撤退

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)
ウズベキスタンの位置。南でアフガニスタン、北東でキルギスタンと接する。

【2005年9月28日】

BBCなどによると、中央アジアのウズベキスタンで先週からアンディジャン事件の裁判が始まっている。一方、この事件をきっかけにウズベキスタンとの関係が悪化したアメリカ合衆国は、年内の基地完全撤退でウズベキスタン政府と合意した。ウズベキスタンの首都タシュケントを訪問中のダニエル・フリード国務副長官が27日語った。

BBCによると、アメリカ合衆国は2001年9月の同時テロ以来、ウズベキスタン南東部の空軍基地を使い、アフガニスタン方面での作戦の拠点としていた。しかし今年5月13日にアンディジャン事件が起きて以来、ウズベキスタン政府の対応を米政府が強く批判したことから、ウズベキスタン政府が反発し、撤退を要望していた。フリード副長官はタシュケントでイスラム・カリモフ大統領と会談した後、報道陣に対し「ウズベキスタン政府は米軍が撤退するべきであるということを明確に述べた。この問題についてこれ以上議論するつもりはない」と語った。また関係悪化がアンディジャン事件とそこでの人権問題に端を発することを認めた。

アンディジャン事件について、ウズベキスタン政府は反政府暴動を鎮圧したとしている。政府は、イスラム系国家樹立を図る反政府運動が背後にあるという見方を表明していた。いっぽうアムネスティ・インターナショナルは、現地からの証言に「アンディジャンの中心部に抗議に集まった群衆に向かって政府軍が無差別に、警告もなく発砲した」という、政府発表と相反する情報があることを指摘している。人権団体は、政府軍がデモを暴力的に鎮圧した虞や、人権活動家や市民に無差別に発砲・拘束を行った可能性について懸念を表明していた。この事件の後、隣国のキルギスタンに多数が逃亡し、難民となっている。

AP通信によれば、ウズベキスタン政府はアンディジャン事件で政府軍によりデモ参加者に死傷者が出たことを認めている。政府の発表した死者は187人である。一方、人権運動家やキルギスタンに逃亡した人々の証言では、700人以上が死亡している。欧米からは国際調査団の受け入れを求める声があったが、ウズベキスタンは拒否している。

先週から事件の首謀者として起訴された15人の裁判が始まっている。容疑は、テロ・禁止されたイスラム系団体への所属など複数に渡っている。ラジオ・フリー・ヨーロッパによれば、これまで3人の被告が証言している。証言した3人はみなキルギス系のウズベキスタン国籍の男性で、有罪を認めている。法廷での証言で、アメリカ大使館からの資金供与、隣国であるキルギスタンでの軍事訓練などが語られた。ラジオ・フリー・ヨーロッパによれば、アメリカ大使館の関与についてのある被告の証言は「アメリカ大使館から資金を得ていると聞いていた」というもので、資金供与についての詳細を欠いていた。アメリカ政府は、暴動への関与を全面的に否定しており、26日には国務省スポークスマンが定例記者会見において、27日にはフリード副長官が、関与を否定する発言を行った。

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