インドネシアで鳥インフルエンザ流行、4人の死亡を確認

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2005年9月25日】

インフルエンザAウイルス、鳥インフルエンザを引き起こすウイルス。着色したウイルス粒子のトランスミッション電子顕微鏡写真。(出典:Dr. Erskine Palmer, Centers for Disease Control and Prevention Public Health Image Library)(資料)

インドネシアで鳥インフルエンザ(H5N1型)が流行し、ジャワ島のジャカルタを中心に患者が出ている。日本経済新聞(日経)によれば、インドネシア保健省は21日までに4人の死亡を確認、さらに3人の死亡者を鳥インフルエンザへの感染により死亡したおそれがあるとして、血液検査による確認調査を行った。3人のうち1人は、その後、検査により、鳥インフルエンザではなかったとされたと報じられた。

23日の日経によると、同省では、患者は日々増えているといっている。鳥インフルエンザの感染を疑わせる死亡者は、ジャカルタで21日に2人、カリマンタンで23日に1人が出たと保健省から発表された。22日のロイター通信は、同国保健当局者の同日の発言として、死亡者2人を含む、11人に対して鳥インフルエンザの検査を行っているとした。23日には、監視下におかれている患者の数は、ロイター=ABCが伝えたところによれば17人となった。ABCはまた、保健当局者の発言として、検査された死亡者のうち1人は、検査の結果、鳥インフルエンザではないと結論されたと伝えている。

国際社会は事態を重視している。アメリカ合衆国、日本、オーストラリアなどからは医療技術者の派遣や訓練、鳥インフルエンザワクチンのための資金援助などの支援の申し入れがなされている。19日から23日までニューカレドニアで行われた世界保健機構(WHO)西太平洋地域委員会総会では鳥インフルエンザ予防が議題として取り上げられた。10月にはカナダで鳥インフルエンザ予防についての国際会議が行われる予定である。

マレーシアなど周辺国では自国への感染の拡大に警戒を強め、検査体制の強化などの対策を行っている。またジャカルタ・ポスト紙によれば、国連ではインドネシアに対し感染拡大の防止のためいっそうの努力を要請した。一方で、WHOは、報告された患者数の増加は、検査体制の強化によるもので、感染の拡大によるものではないとする見方を22日示している。

ロイターによると、現在の鳥インフルエンザへの感染は、2003年韓国で確認されたのをはじめとして、主にアジアで起こっている。9月22日現在で各国合わせ64人の死者が報告されていた。最も死者の多いベトナムではこれまでに44人が死亡している。22日、WHO西太平洋地域委員会総会に出席中のベトナムのトリン・カン・フアン副保健省は、ロイターのインタビューに答え、ベトナムでの鳥インフルエンザは収束しているものの、伝播が懸念される冬に備え、ワクチンの備蓄が必要だとする見方を語った。

日本では人間への感染は見つかっていない。しかし食肉用のニワトリへの感染が何件か報告されている。今年に入ってからは茨城県他で感染が確認され、全国一斉検査が行われた。日経などによると、岩永峯一農相は20日、記者会見で、茨城関連の31養鶏場以外に、新たな感染は見つからなかったと語った。検査の対象となったのは、1,000羽以上を飼育する全国の養鶏場のうち、茨城県内の全養鶏場と、全国から無作為に抽出した養鶏場をあわせた約2,400施設。今回検査を行わなかった同規模の1,600施設について、農林水産省は今後検査を行うかどうかを検討する。

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