アメリカ議会下院議長選、マッカーシー共和党院内総務を選出 15回投票でようやく
【2023年1月11日】
2023年1月7日未明(現地時間、日本時間は同日午後)、アメリカ議会下院は議長にケビン・マッカーシー共和党院内総務を選出した [1]。米下院は今月3日に開会したあと、共和党下院議員の造反グループのために議長選の投票で過半数の票に達せず、下院議長の選出ができず混乱が続いていた。米下院は議事を進める前に議長を選出するのを慣例としているため、議長を選出できないことは議会の機能停止を意味している[2]。
議長選の投票が10回以上行われるのは、1859年以来164年ぶり[1]。1859年の時には44回投票が実施されている[1]。今回の投票回数は1879年以降で5番目に多かった[2]。
米下院は共和党222、民主党221でほぼ拮抗しているが、1人差で共和党が第1党[1]。投票結果はマッカーシー院内総務が216票、ジェフリーズ民主党院内総務が212票で、マッカーシー議員が有効票の過半数を獲得した。同院内総務は共和党の造反グループと交渉し造反者の数は減っていったが、うち6人は支持する議員を明らかにせず、最後までマッカーシー院内総務に投票することを拒んだ[3]。米紙ニューヨーク・タイムズによると、造反グループ21人(棄権1人を含む)中19人は保守強硬派の議員連盟「フリーダム・コーカス」(自由議員連盟)に所属しているという[4]。
フリーダム・コーカスのメンバーはドナルド・トランプ前大統領と近く、合衆国政府のウクライナ支援打ち切りやバイデン現大統領の弾劾を主張している[5]。
同院内総務は票を獲得するために造反グループに譲歩を続けたため、共和党保守強硬派の影響力が更に強まると予想され、議会運営に支障が出る可能性も指摘されている[3]。譲歩の内容は、議長解任動議提出の条件を緩め、当初案では下限が5人だった必要な議員数を1人にまで下げることで合意した他、CNNの報道によれば、各委員会の主要ポストを造反グループに割り当てるなどの約束をしたという[4][1]。また、議案審査で強い権限を持つ議事運営委員会への保守強硬派の選任、議案採決前に72時間以上の検討時間を確保することなどの要求も丸のみした[2]。
情報源
[編集]- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 北海道新聞「米下院議長選 15回目で決着 マッカーシー氏 保守強硬派に譲歩」。『北海道新聞』、2023年1月8日朝刊16版2面。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 毎日新聞 『米下院議長選、15回目投票でマッカーシー氏選出 造反議員に譲歩』 — 毎日新聞社, 2023年1月7日
- ↑ 3.0 3.1 『米議会下院 15回目の投票で決着 議長に共和党マッカーシー氏』 — 日本放送協会, 2023年1月7日
- ↑ 4.0 4.1 日本経済新聞 『米議会に機能不全リスク 投票15回で下院議長選出』 — 日本経済新聞社, 2023年1月7日
- ↑ 淵上隆悠 『ようやく選出の米下院議長、造反組に大きく譲歩…CNN「近年で最弱の議長だ」』 — 読売新聞オンライン, 2023年1月8日