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アメリカ海軍の空母が台湾海峡を通過

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2008年1月25日】

11月27日に横須賀へ戻った空母キティホーク

アメリカ海軍航空母艦(空母)を含む艦隊が2007年11月23日から24日にかけて台湾海峡を通過したとアメリカ太平洋艦隊が明らかにし、29日に共同通信社など各報道機関が報じた。

共同通信社など各報道機関によると艦隊は11月21日に中国政府から香港への寄港を拒否されたため、横須賀基地へと戻る途中に台湾海峡を通過した。台湾海峡を通過した艦隊は太平洋艦隊の指揮下にある第7艦隊の空母キティホークを中心とした空母打撃群(タスクフォース)で、共同通信社によると空母キティホークと随行していた護衛の駆逐艦を含めた計6隻、毎日新聞によると計8隻からなる艦隊。

産経新聞によると第7艦隊の空母打撃群は感謝祭にあたり乗組員らを休養のため11月21日から香港への寄港を計画していたが、予定までに寄港の許可が伝わってこなかったため、待機していた香港近海を離れて横須賀へと向かった。中国の外務省は人道的措置として22日に寄港を許可したが、空母打撃群は北上を続けた。ニューヨーク・タイムズによると寄港拒否が取り消されたころには、針路を日本に向けていて時期が遅すぎた。ロイターによるとアメリカ太平洋艦隊のスポークスマンであるジョン・ファイロストラト大尉は、中国政府が許可した後になぜ香港に向かわなかったのか、あるいは許可の時期が遅かったのか判断する立場ではないと前置きした後で、「寄港拒否が伝えられた艦隊は帰還し始め、それに変わりはありません」と結んだ。乗組員と香港で落ち合うべく何百人かの家族がアメリカ、日本、フィリピンから駆けつけたが、乗組員は船上で感謝祭を迎えた。

共同通信社など各報道機関によるとアメリカ海軍の空母が台湾海峡に入ったのは、1996年台湾総統選挙をきっかけにアメリカ海軍が台湾近海に空母2隻を派遣して情勢が緊迫した台湾海峡危機以来であった。香港寄港拒否の問題について、産経新聞によると2007年11月27日にアメリカ海軍作戦部長のラフヘッド大将は「驚きであり、建設的でない」と中国政府を非難し、アメリカ太平洋軍の司令官キーティング大将も「当惑させられた」と語った。中国政府が拒否した理由について、ロイターなど各報道機関によると中国政府は明らかにしていないが、2007年10月17日に行われたアメリカ大統領ジョージ・ブッシュとアメリカ議会によるダライ・ラマ14世への栄典授与や台湾への武器売却に対する不快感の表明ではないかとの観測を11月28日に産経新聞が報じ、ニューヨーク・タイムズでは式典でジョージ・ブッシュとダライ・ラマが会見したことと武器売却を計画していることに対する報復ではないかとの観測を報じた。

共同通信社によるとAP通信が12月4日に政府間で寄港拒否したことについて今後お互いに問題を持ち出さないことで合意したと報じた。12月3日にアメリカ国防総省のエデルマン次官と中国軍幹部が会談し、中国側は台湾へのミサイル装備売却について懸念を表明しつつ、寄港拒否の問題を長引かせるべきではないと提言し、アメリカ側も同意した。

共同通信社など各報道機関によると不測の事態に備えて艦載機を発進させて警戒監視を行ったと報じられたが、中国海軍の駆逐艦深圳宋級潜水艦に追跡されていたために警戒監視を行っていたことを2008年1月15日に共同通信社と毎日新聞が新たに報じた。毎日新聞によると在日米軍の哨戒機P-3C オライオンが探知し、キティホークは艦載機を発進させて上空で護衛につかせていた。共同通信社によると空母打撃群は海峡中間線の台湾側を航行していたが、中国海軍艦艇は中間線の中国側にとどまって尾行した。空母打撃群に合わせて中国海軍艦艇も減速や停船し、この対峙によって空母打撃群は海峡を出るまで通常の2倍の時間をかけた。毎日新聞によると空母打撃群が海峡を出た後、宋級潜水艦は中国の港に戻ったが、深圳は日中防衛交流の親善訪問が本来の任務であったため中間線を超えて東京港の晴海埠頭に向かった。

共同通信社によると1月14日に中国軍幹部と対談したキーティング大将は、幹部に対して2007年に相次いで香港への寄港を拒否されたことについて不満を表明し、今後の寄港許可に関しては前向き対応を取るという返答があったことを明らかにし、キーティング大将は中国軍による大陸間弾道ミサイル巡航ミサイル衛星攻撃兵器増強について「懸念を持っている」と語った。読売新聞によると台湾のマスメディアである中国時報に対して台湾軍幹部は、中国海軍は台湾海峡の内海化する狙いがあり、台湾の東側沿岸で艦艇の行動を活発化させていると語った。朝鮮日報は政策の一環として中国は台湾海峡を領海と主張してきたため、他国の軍艦や艦隊は通過しないのが慣例であり、空母打撃群は故意に台湾海峡を通過したとの観測を報じた。

産経新聞によると中央軍事委員会副主席と会談するため中国に訪れていたキーティング大将は1月17日に香港の総領事館で記者会見を開き、台湾のマスメディアが報じた中国海軍の潜水艦と28時間に渡るにらみ合いについて、「事実無根だ」と否定した。

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