アゼルバイジャン2005年議会選挙 与党過半数、野党は不正を告発

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アゼルバイジャンの位置
アゼルバイジャンの地図。中央右側の星印が首都バクー。

【2005年11月8日】

西アジアのアゼルバイジャンで6日(現地時間、UTC+4)議会選挙(任期5年、定数125)が行われ、イルハム・アリエフ大統領率いる与党・新アゼルバイジャンが大差で勝利した。7日、各報道機関が伝えた。アゼルバイジャンは、旧ソビエト連邦構成国のひとつで、住民のほとんどはイスラム教徒、ロシアイランの間に位置し、西はアルメニア、東はカスピ海に臨む産油国である。

一方で、懸念された選挙での不正については、意見が分かれている。朝日新聞などによれば、アリエフ大統領や米国系監視団はおおむね公正なものであったとしし、中央選挙管理委員会も選挙が民主的な雰囲気のもとで行われたとする一方、欧州安全保障協力機構(OSCE)の選挙監視団は、7日記者会見を行い、選挙での不正を指摘し、国際的水準に達していないと指摘した。

選挙の結果とその反響[編集]

首都バクー。旧市街から新市街を望む。

朝日新聞が中央選管発表として伝えたところによれば、投票率は47パーセント。2000年に行われた前回選挙の投票率を約15ポイント下回った。

朝日によれば、現地時間7日、アゼルバイジャン中央選管は、開票率90パーセント以上での結果を発表した。新アゼルバイジャンは63議席と過半数を確保し、野党3党の選挙ブロック連合「アザドルイグ(自由)」は6議席を得た。ほかに独立系の候補者40人が当選し、この多くは政権よりの立場にあるとみられている。日本経済新聞によれば、アメリカとロシアの3機関が合同で実施した出口調査では、新アゼルバイジャン56議席、親大統領とみられる独立系38議席、アザドルイグは13議席となっている。

アザドルイグは6日の選挙終了直後に幹部が記者会見を開いた。朝日、日経によれば、この記者会見でアザドルイグは同日125選挙区中113箇所約2万1,000件の不正が確認されたと指摘した。また朝日によれば「少なくとも100選挙区」での無効とやり直しを訴えた。朝日などによれば、アザドルイグは当初8日に首都バクーで抗議デモを行うとしたが、当局の許可がおりず、9日に延期された。

選挙の実施[編集]

新華社通信などによれば、投票は、6日の現地時間午前8時(日本時間午後1時)に始まり、現地時間午後7時(日本時間7日午前0時)に予定どおり終わった。ロイターなどによれば、立候補者は1,500人を超えた。朝日によれば47政党が候補者を立てた。新華社によれば、全国で約5,100の投票所が設けられた。

アゼルバイジャンは1993年の独立以来、つねに不正選挙が指摘されている。今回の選挙には、欧州安全保障協力機構(OSCE)、独立国家共同体(CIS)、欧州議会から、1,500人を超える監視員が派遣された。2回以上投票する不正を防止するため、投票終了者の手に可視光線ではみえない特別のインクが塗られたとロイターなどが伝えている。

アリエフ大統領は、2003年、父親の引退を受けて、大統領選に出馬した。このときも不正選挙が指摘されている。今回の選挙へ向けて、大統領は公正な選挙を行うと繰りかえし主張してきた。ロイターなどによれば、野党は、選挙期間中に妨害を受けたと主張し、また脅迫や投票箱への盗難などの不正が行われていると主張している。CISからのある選挙監視員は、新華社に対して、 CISからの監視員が投票所を無作為に検査しており、不正は見つかっていないと6日語った。一方、OSCEは、7日、公式に開票時の不正を指摘した。朝日によれば、OSCEは、監視対象の43%の開票所で、野党側立会人が排除されたと語った。また、選挙前の野党の集会の弾圧や報道機関が与党の情報のみを伝えたことを批判した。

選挙戦とその背景[編集]

投票以前から、各報道機関は与党・新アゼルバイジャン党の有利を予測していた。

人民戦線、民主党、ムサワトの野党3党は政党連合「アザドルイグ(自由)」を結成し、対抗を図った。朝日新聞などは、選挙戦中、野党連合が開いた集会で、警官と支持者の衝突があり、逮捕者が出たことを伝えている。6日の新華社は、アザドルイグが「75議席を獲得するとの見込みをもっている」と語ったと伝え、と同時に実現は難しいだろうと報じた。

アリエフ大統領は、選挙中に現職閣僚2人を政権の転覆を図った容疑で逮捕した。新華社などは、亡命中である民主党のグリエフ党首がこれに関与し資金供与していたとの告発があると伝えている。朝日新聞は野党ムサワトのガムバル党首が、この逮捕を「でっちあげ」と語ったと伝えた。ロイターは、アリエフ大統領が、父親の前政権よりも民主的な政権を作り、政治改革を行おうとしているとみられるとする一方、野党支持者の運動への対処やこのような逮捕劇にみられる強権的な側面を大統領が持つことを指摘している。

ウクライナやグルジアなどの旧ソビエト連邦構成国では近年の選挙の後、不正が告発され、警官と野党支持者との衝突が起こった。ロイターは、2003年のアゼルバイジャン大統領選挙でも、そのような衝突により少なくとも一人が死亡したと伝えている。しかしロイターやVOAなどの報道機関は、今回のアゼルバイジャンの選挙では、そのような暴力を伴う衝突がほぼ起こらないとする観測を伝えている。選挙前、各報道機関の取材に応じたアザドルイグ首脳は、抗議運動は平和的に行うと語っていた。朝日によれば、選挙後のアザドルイグによる記者会見でも、人民戦線のケリムリ代表が「平和的な手段で無効を訴えていく」と語った。

アゼルバイジャンにはカスピ海湖岸の首都バクーからトルコへ通じるパイプラインが敷設され、ロイターによれば来年1月から西欧諸国への石油輸送を開始する予定である。このため、アゼルバイジャンの安定に、西欧各国は大きな関心をよせているとロイターなどは伝えている。また日本経済新聞も、アゼルバイジャンが産油国であることを理由に「米欧は政情不安定化を望んでいないとの見方も多い」と伝えている。


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