中国・雲南省の地震から3日 - 被害が拡大、救助活動に困難も
【2014年8月7日】
中国・雲南省の昭通市(しょうつうし)魯甸県(ろでんけん)で、現地時間(UTC+8)の8月3日午後4時30分(日本時間同日午後5時30分:以下、現地時間で記載)ごろにマグニチュード6.5の地震が発生した[1]。雲南省や四川省の周辺は「南北地震帯」と称され、大地震が多発する地域として知られる[2]。雲南省民政庁の発表では、8月6日午前10時30分までの人的被害は被災者108万8400人、死者589人、行方不明者9人、負傷者2401人に達した[3]。また土砂崩れによって河川に天然ダム(土砂ダム)ができて水位が上昇、決壊による二次災害も懸念されている[4][5]。
被災者の多くは、ベトナム、ラオス、ミャンマーとの国境も近い山岳地帯の住民[6]。地震後は軍・警察・消防などから約1万人が救助のために出動した[4]が、落石や土石流で被災地への道路がふさがれ[4]、周辺での交通渋滞もあって負傷者の救助・救援物資輸送のための車両が行く手を阻まれる事態が続いた[7]。ヘリコプターによる空輸作業も並行して行われたが[8]、断続的に発生する余震や大雨で、交通網の復旧作業は何度も中断したという[9]。こうした中で20万人を超える被災者が地震後にテントなどで避難生活を送っているが、食料などの救援物資がまだ行き届かない状況にある[10]。
中国のメディアでは、耐震補強工事の立ち遅れが被害を大きくしたと指摘[11]。また貧しい住民は耐震化の費用を工面できず、政府からの援助も十分でなかったことが改めて問題となっている[11]。雲南省は経済発展から取り残された状況にあり[2]、魯甸県でも人口の4分の1が貧困層にあたる[12]。土壁で造られた昔ながらの家屋は耐震性が低く、犠牲者の多くはこうした建物の倒壊によって下敷きとなった子ども・高齢者とみられている[12][13]。被害の拡大要因としては、このほかに震源が約12キロメートルと浅かったこと、被災地の人口密度が中国の全国平均の約2倍(1平方キロメートルあたり265人)であったことが挙がっている[14]。
中国政府の対応としては、国家主席の習近平氏が8月3日の夜、被災者の支援のために6億元(約100億円)の拠出を表明[15]。翌8月4日には政府の震災対応レベルを「1級」にするとともに、首相の李克強氏が現地入りして対策の指揮をとった[16]。このほか雲南省政府は、犠牲者の遺族に対して2万元(約33万円)の見舞金を出すことを発表している[8]。
情報源
- ↑ 共同通信 『中国雲南省で地震 M6.5、死者・不明350人超』 — 日本経済新聞, 2014年8月4日
- ↑ 2.0 2.1 『中国南西部「地震の巣」雲南省、耐震補強進まず』 — 読売新聞, 2014年8月4日
- ↑ 郭丹 『雲南省魯甸地震、死亡者は589人に増加』 — 新華社, 2014年8月6日
- ↑ 4.0 4.1 4.2 河崎真澄 『【中国雲南省地震】死者410人 道路寸断で物資届かず』 — 産経新聞, 2014年8月5日
- ↑ 小山謙太郎 『雲南省の地震、死者589人に 土砂ダム、19カ所確認』 — 朝日新聞, 2014年8月6日
- ↑ JOSH CHIN 『中国雲南省の地震、犠牲者410人に―救助は依然難航』 — ウォール・ストリート・ジャーナル, 2014年8月6日
- ↑ 隅俊之 『中国:雲南省地震「何もかも崩れた」 崖崩れで道路寸断』 — 毎日新聞, 2014年8月5日
- ↑ 8.0 8.1 北京時事 『がれきかき分け、救出急ぐ=せき止め湖、水位上昇-中国・雲南地震』 — 時事通信社, 2014年8月5日
- ↑ 『雲南省地震 作業難航で物資不足深刻に』 — NHKニュース, 2014年8月5日
- ↑ 『中国・雲南省の地震 救助活動進まず』 — NHKニュース, 2014年8月6日
- ↑ 11.0 11.1 隅俊之 『雲南省地震:貧しい通り、廃虚に 耐震化置き去りにされ』 — 毎日新聞, 2014年8月6日
- ↑ 12.0 12.1 共同通信 『88歳女性を50時間ぶり救出 中国地震、自宅がれきから』 — 日本経済新聞, 2014年8月6日
- ↑ 北京時事 『道路寸断、物資届かず=がれきの下、助け待つ人々-中国・雲南』 — 時事通信社, 2014年8月4日
- ↑ 今関忠馬 『雲南地震、被害が増大した5つの原因=中国メディア』 — SBIサーチナ, 2014年8月6日
- ↑ 工藤哲 『中国:雲南省地震 政府が補助金100億円拠出へ』 — 毎日新聞, 2014年8月4日
- ↑ Lin、山下 『中国雲南省でM6.5の地震、李首相が震災地へ』 — 中国国際放送, 2014年8月4日