カナダ・デンマーク、国境紛争の沈静化に努力

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2005年9月25日】

ハンス島の位置
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東部夏時間19日、カナダとデンマークはグリーンランドの北に位置するハンス島をめぐる両国の国境紛争について、今後は冷静な態度で交渉を行うことで合意した。両国外相がニューヨークで会談し、合意したもの。

ハンス島は面積約1.3平方キロメートルの無人島で、デンマーク領グリーンランドとカナダ領エルスミア島の間にある。両国は1973年グリーンランドとエルスミア島の間を国境とすることに合意したが、両島の間にあるハンス島などについては合意せず、その後1984年以降、政治家が自国国旗を立てるなど、断続的に示威行動が続いていた。

カナダのピエール・ペティグリュー外相とデンマークのペール・シュティーグ・メーラー外相は、ともにニューヨークで開催されている国連総会に参加しており、19日会談を行った。ロイターによれば、両国は国境についての合意には達しなかったものの、今年に入って過熱していた国境についての論争を今後は「抑えた控えめな態度」で行うことで合意した。この合意を新華社は「休戦」と評している。またZDFなどドイツの一部報道機関は両国が同島の合同管理について合意文書を交わしたと報道している。

ZDFなどによれば、今年7月にカナダのビル・グラハム防衛相が個人として同島に渡りカナダ国旗を立てたことから、論争が再燃した。デンマークはこれに対して、カナダ国旗を降ろし、デンマーク国旗を立てるために軍艦を派遣した。

カナディアン・プレス通信は、関係筋の話としてカナダ政府は純粋に主権の問題にのみ関心があり、同島のまわりの水域には関心がないとする発言を伝えている。一方で、同社を含め、ZDFやロイターなど複数の報道機関は、この争いの背景に、地下資源や漁業資源などへの期待があると観測している。

グリーンランド(東、図右)とエルスミア島(西、図左)の間の海峡。いちばん上(北)にある小島がハンス島。

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