法令違反を理由に旧統一教会に対し解散を命じる決定 -東京地裁-
【2025年3月27日】
3月25日、東京地方裁判所は民法上の不法行為が宗教法人法における解散要件の法令違反に当たると判断し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散を命じた。民法上の不法行為が解散命令の根拠となるのは今回が始めてとなる。
旧統一教会をめぐる一連の問題について、文部科学省は2022年11月から調査を開始。宗教法人法に基づく質問権を行使し、教団の組織運営や財産収支、活動状況を調査した。また被害を訴える170人以上へのヒアリングも行い、被害の全容把握に務めた[1]。
調査の結果、文科省は1980年以降の元信者による教団への損害賠償訴訟について、請求の全部または一部を認めた判決は32件存在し、和解や示談を含めた被害額が約204億円に上ることを確認した。教団の組織的な関与があったとして宗教法人法に基づく解散命令を2023年10月、東京地裁に請求し、約5000点の証拠を提出した。東京地裁は双方の意見を聴取する審問を非公開で実施し、現役および元信者を含める5名が証人尋問を受けた[1][2][3]。
今回の決定で東京地裁は1980年頃から2009年にかけて約1500人が194億円を超える被害を受けたことを認定。また献金勧誘のマニュアルがあったこと、不幸な出来事にあった人間の不安を煽り勧誘したこと、コンプライアンス宣言後も抜本的な対策がされず、40年にわたって全国で被害が相次いだことから、それぞれ組織性、悪質性、継続性があるとみなし、解散命令の要件の「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に当たると判断した。
今回の決定を受け、阿部俊子文科相は「主張が認められたものと受け止めている。文科省としては旧統一教会への対応に引き続き万全を期す」との見解を示した。
旧統一教会の田中富広会長は「国家による明らかな信教の自由の侵害だ」と東京地裁の決定を批判し、東京高裁に即時抗告する姿勢を見せた[4]。
情報源
[編集]- ↑ 1.0 1.1 「旧統一教会に東京地裁が解散命令、民法上の不法行為で初」。『日本経済新聞』、2025年3月25日。
- ↑ 『旧統一教会に解散命令 高額献金理由にした請求で初 東京地裁』 — 毎日新聞, 2025年3月25日
- ↑ 『旧統一教会の解散命令、東京地裁に請求 証拠5000点提出』 — 日本経済新聞, 2023年10月13日
- ↑ 『旧統一教会に解散命令 東京地裁 経緯は 今後の手続きは』 — NHK, 2025年3月25日