北東アジア各地で記録的豪雨―ソウルや新潟・福島などで死者・不明者相次ぐ

出典:『ウィキニュース』(ベータ版)

【2011年8月1日】

活発な前線の影響で、26日(KST・JST、UTC+9)から北東アジアの各地で記録的な豪雨となっている。

韓国では26日から27日にかけて、非常に激しい雨が降った。豪雨は、首都ソウルなど同国北部[注釈 1]を中心に襲い、ソウル市郊外の冠岳区では、27日午前7時半からの1時間に110.5ミリの猛烈な雨を観測した[1]。この豪雨で、山崩れなどにより人的被害が出ている。中央災難安全対策本部の発表によれば、29日午前6時の時点で59人が死亡、10人が行方不明となっている[2]

一方、日本でも28日から局地的に猛烈な雨が降っている。京都府南部では28日、局地的に豪雨となり、宇治田原町では1時間に114ミリの猛烈な雨が降った[3]。さらに、新潟県や福島県でも28日から29日にかけて、記録的な豪雨が降った。新潟県十日町市で、29日午後8時51分までの1時間にこの地点の観測史上最高の121ミリの雨が降ったほか、新潟市、三条市、福島県只見町でも100ミリ前後の時間雨量を記録した[4]。両県では、川に流されるなどして3人が死亡、3人が行方不明となっている[5]

目次

[編集] 韓国: 104年の観測史上最大の豪雨

韓国の行政区分(PD)
1.ソウル特別市
4.仁川広域市
8.京畿道
9.江原道

韓国では、1907年に気象観測を始めて以来、104年間で最大規模の豪雨となった[6]

[編集] 雨量

26日から29日午前5時までの総雨量は、京畿道東豆川で679.5ミリ、ソウル市で591.0ミリ、江原道春川で543.0ミリなどとなっている[2]。特に26日と27日の2日間で、ソウルでは465ミリの雨が降り、7月の2日間の雨量の記録を71年ぶりに塗り替えたという。1時間雨量も、瑞草区と冠岳区では100ミリを超えるなど、猛烈な雨となった[6]

[編集] 人的被害

ソウル市瑞草区の牛眠山では土砂崩れが発生、16人が死亡した。また、江原道春川市内の昭陽江ダム近くでの土砂崩れでは、小学校で科学教育のボランティアを行っていた[1]学生ら13人が生き埋めとなり死亡した。その他、京畿道広州市の川が氾濫して6人が、坡州市では土砂崩れにより3人が死亡するなど[6]、全国で59人が死亡、10人が行方不明となっている[2]

[編集] その他の被害と影響

停電は、全国で12万9,872世帯で発生し、浸水被害も住宅1万38棟、工場など1,097か所、農地978haに上っている[2]。また、京畿道南楊州市では高速道路に土砂が流れ込み、付近が通行止めとなった。このほか、京仁高速道路の東仁川インターチェンジも浸水するなど、高速道路網にも大きな影響が出た。鉄道でも、国鉄の駅が浸水して、地下鉄が運転を見合わせるなどの影響が出た[1]

さらに、韓国軍は、北朝鮮との軍事境界線付近にある軍の施設から、山崩れで地雷が流れ出た可能性があるとして捜索をはじめ、付近の住民に注意を呼びかける事態となった[7]

韓国では昨年9月にも集中豪雨でソウルの中心部に被害が出ており、防災対策の見直しを求める声が上がっている[6]

[編集] 日本: 7年前の新潟・福島豪雨を凌ぐ豪雨

日本でも、韓国に大雨をもたらしたのと同じ[8]前線により、新潟県や福島県を中心に、各地に大雨が降った。

[編集] 新潟・福島で大きな被害

新潟県と福島県では、死者16人を出した7年前の「平成16年7月新潟・福島豪雨」を上回る大雨となった。30日朝までの24時間雨量は、福島県只見町で527.0ミリ、新潟県加茂市で473.5ミリとなり、いずれも2004年新潟・福島豪雨を上回り観測史上最多となった。72時間雨量も、最大で只見町で700.0ミリ、加茂市で623.0ミリとなり、7月の月間雨量の平均の2倍以上を数えた。気象庁は、一連の雨で記録的短時間大雨情報を新潟県に30回、福島県に2回の計32回発表し、過去最多回数となった[9]

この豪雨で、新潟県で3人が死亡、新潟県と福島県で3人が行方不明となっている[5]。避難勧告・指示は、一時約40万人に出されたほか、新潟県で18の集落[10]が、福島県でも800世帯[11]が孤立するなどした。建物被害も相次ぎ、少なくとも6,900棟が損壊・浸水したとみられる[5]。浸水の被害は、両県のほか、群馬県や長野県にも及んでいる[12]

[編集] 「平成23年7月新潟・福島豪雨」と命名

今回の豪雨について、気象庁は「平成23年7月新潟・福島豪雨」と命名した。気象災害への命名は「平成21年7月中国・九州北部豪雨」以来となる[13]。また、新潟・福島両県は、国に対して豪雨災害の激甚災害指定の要望書を提出した[14][15]

[編集] 静岡・京都でも豪雨被害

静岡県では、27日朝、局地的に大雨となり、島田市では午前8時からの1時間に73ミリの雨が降った。この雨で、市内の市道が冠水し、女性の乗った車が水没したが、女性は消防に救助された[16]。同市と焼津市では、この雨で22棟が床上・床下浸水した。[17]

また、京都府南部では、28日午後に大雨となった。時間雨量は局地的に100ミリを超え、気象庁は宇治市付近に記録的短時間大雨情報を出した。この雨で、宇治市や京都市で30棟が浸水の被害を受けた[3]。京都府笠置町では、29日午後、町内を流れる木津川に男性がおぼれて流されたという通報があり、消防隊が捜索したところ、川底に沈んでいるのを発見した。木津川は、28日の大雨で約2メートル増水していたという[18]

[編集] 北朝鮮: “人民経済の様々な部門で大きな損失”

豪雨の被害は、北朝鮮にも広がっている。朝鮮中央通信は、「人民経済の様々な部門で大きな損失を被っている」と伝えており、農地の浸水や建物の損壊が相次いでいるという[19]。農地への被害は深刻で、食糧難を増幅させるのではないかという見方も出ている。また、水害を受けた地区では、子供の間で感染症が増えているという。[20]

[編集] 中国が緊急支援

朝鮮中央通信は、この豪雨被害を受け、中国は北朝鮮に対し緊急の支援を行うことを決めた、と報道した。中国の胡錦濤国家主席は、人命被害に対する見舞いの電報を送ったという[20]

[編集] 注釈

  1. 東亞日報によれば中部だが、これは韓国では北朝鮮も自国の領土と主張しているためとみられる。実効統治範囲の中では北部であり、他報道でも北部となっている。

[編集] 情報源

  1. 1.0 1.1 1.2 『2日間400ミリの大雨、山崩れで26人死亡』東亞日報、2011年7月28日。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 『韓国で豪雨被害拡大、死亡・行方不明者69人に』聯合ニュース、2011年7月29日。
  3. 3.0 3.1 『京都・宇治市付近に記録的集中豪雨 28日午後』読売新聞、2011年7月29日。
  4. 『豪雨:6人が不明 18万人避難勧告…新潟・福島』毎日新聞、2011年7月30日。
  5. 5.0 5.1 5.2 『豪雨被害 3人死亡3人行方不明』NHK、2011年7月31日。
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 朴恩鎬・李衛栽 『集中豪雨:ソウル中心部が浸水、土砂崩れで死者も』朝鮮日報、2011年7月28日。
  7. 中野晃 『韓国豪雨、死者52人に 軍施設から地雷流失の可能性も』朝日新聞、2011年7月28日。
  8. 『豪雨…京都で1時間114ミリ、新潟でも』日テレNEWS24、2011年7月日。
  9. 共同 『豪雨、「04年」上回る 記録的大雨情報は30回超』日本経済新聞、2011年7月30日。
  10. 『県内の避難勧告・指示は約40万人 集落の孤立も』新潟日報、2011年7月30日。
  11. 『記録的豪雨で40万人に避難勧告 2人死亡、4人不明』ANN、2011年7月31日。
  12. 『新潟県・福島県等における大雨による被害状況等について』内閣府、2011年7月31日。
  13. 『「新潟・福島豪雨」と名付ける』NHK、2011年8月1日。
  14. 畠山哲郎、神田順二、川畑さおり、塚本恒 『豪雨:魚沼・奥只見で孤立の173人、ヘリ救助 3市町で断水続く /新潟』毎日新聞、2011年8月1日。
  15. 『福島県 豪雨の激甚災害指定要望』NHK、2011年8月1日。
  16. 『雨で車水没、女性救助 島田』静岡新聞、2011年7月27日。
  17. 小玉沙織 『大雨:島田など大雨、高架下の市道冠水 車水没し女性軽傷 /静岡』毎日新聞、2011年7月27日。
  18. 『増水の木津川、大学生溺れ死亡 京都』産経新聞、2011年7月30日。
  19. 門間順平 『北朝鮮も豪雨被害、住宅数千戸損壊・農地冠水』読売新聞、2011年7月28日。
  20. 20.0 20.1 米村耕一 『北朝鮮:南部穀物地帯で豪雨被害 中国が緊急支援へ』毎日新聞、2011年8月1日。


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